強引社長の甘い罠
私は椅子に座ったまま姿勢を正すと、両手で頬を軽く叩き、仕事に集中しようとした。考えることは山ほどあるけれど、今は勤務時間中だ。
マウスを軽く動かしてスリープモードになっていたパソコンの画面を戻すとパスワードを入力する。ブラウザを起動して『エステティックサロン ミュゼ』のページを表示させた。
白と黒のコントラストがきいたあっさりしたページだった。写真を見る限り、こぢんまりとしているが、モダンで清潔なイメージの素敵なサロンのようだ。だけど、これって……。他のエステティックサロンのページもいくつか見てみた。だけど、やっぱりそうだ。
「どう? いいものできそう?」
背後から声を掛けられて、それまでほとんど上の空だった私は大げさなほど肩が跳ね上がった。振り向くと、私の肩越しに画面を覗き込むようにして鈴木課長が立っている。
「か、課長」
「あら、そんなに驚かせちゃった? ごめんなさいね、急に声を掛けたりして」
「いえ、そんなことは……」
微笑んだ課長がもう一度パソコンの画面に視線を戻す。そして首を傾げた。
「何だか考え込んでるようだったからどうしたのかと思ったんだけど、何か問題点でもあった?」
「問題というか、何となく気になったことはあります」
私が課長を振り返って言うと、課長の目が興味深そうにきらめく。
「聞かせてくれる?」
マウスを軽く動かしてスリープモードになっていたパソコンの画面を戻すとパスワードを入力する。ブラウザを起動して『エステティックサロン ミュゼ』のページを表示させた。
白と黒のコントラストがきいたあっさりしたページだった。写真を見る限り、こぢんまりとしているが、モダンで清潔なイメージの素敵なサロンのようだ。だけど、これって……。他のエステティックサロンのページもいくつか見てみた。だけど、やっぱりそうだ。
「どう? いいものできそう?」
背後から声を掛けられて、それまでほとんど上の空だった私は大げさなほど肩が跳ね上がった。振り向くと、私の肩越しに画面を覗き込むようにして鈴木課長が立っている。
「か、課長」
「あら、そんなに驚かせちゃった? ごめんなさいね、急に声を掛けたりして」
「いえ、そんなことは……」
微笑んだ課長がもう一度パソコンの画面に視線を戻す。そして首を傾げた。
「何だか考え込んでるようだったからどうしたのかと思ったんだけど、何か問題点でもあった?」
「問題というか、何となく気になったことはあります」
私が課長を振り返って言うと、課長の目が興味深そうにきらめく。
「聞かせてくれる?」