強引社長の甘い罠
「ああ、もう。祥吾、ちゃんと分かりやすく唯ちゃんに説明してあげたら? 彼女、困っちゃってるよ」

 祥吾がお好み焼きを一つ、器用にひっくり返した。そして私を見る。小さな溜息をついた。

「あんなことは、他の人間に任せればよかったんだ」

 ブツブツ言いながら二つ目のお好み焼きもひっくり返す。私は眉根を寄せた。

「唯ちゃん、祥吾はただ心配してるだけなんだよ」

 祥吾のはっきりしない物言いに、松尾さんが向かい側から補足した。

「心配?」

「そう。だってほら、エステのモデルなんでしょ? 唯ちゃんの肌が他人の目に触れるってわけだ。そりゃあ祥吾からしたら面白くないだろうね」

「あ……」

「確かにモデルとしての唯ちゃんは充分適任だろうけど。肌も……キレイだったしね」

 松尾さんが意味ありげに私にウィンクを寄越した。私は恐らく真っ赤になっているだろう。忘れていたけど、松尾さんには診察だったとはいえ、肌を見られているのだ。
 すぐに祥吾が低い声でうなるように警告した。

「お前のその記憶を今すぐ消してやろうか?」

「あはは。冗談だよ。ちょっとからかっただけだ」

「まったく……」
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