強引社長の甘い罠
「あのね、祥吾……」
再び迎えを断ろうとしたときだった。目の前に見覚えのあるブルーのコンバーチブルのBMWが停車した。
『何だ、わざわざ外に出て電話してたのか。店の中でも電話が迷惑にならない場所くらいあるだろう』
私は馬鹿みたいにポカンと口を開けてしまった。ハザードを点滅させてガードレールの向こうに止まった車のウィンドウが開く。電話は切れていて、祥吾が早く来い、と手招きをした。
祥吾が迎えに来てしまった。迎えはいらないと断るつもりだったのに。
しばらくその場に立ち尽くしていた私に業を煮やしたのか、祥吾が優雅な動作で車から降りてきた。エンジンを切って、ハザードをつけたまま。ここは駐車禁止だって自分で言っていたくせに。
真っ直ぐ私の元へと歩いてくる彼は、相変わらず素敵だ。一日仕事をしていたせいか、少し皺になっているところもあるけれど、パリッとした見るからに高級そうなチャコールグレーのスーツは彼の魅力をこの上なく引き立てている。気づけば私はうっとりと彼に見惚れてしまっていた。
「ほら、ボケッとしてないで早く帰る準備をしてこい」
「……ど、どうして迎えに来ちゃったのよ」
慌てて、やっとのことでそう言うと、祥吾は途端に不愉快な顔をした。眉間に皺を寄せ、私を睨みつける。
「迎えに来られたら都合が悪いみたいな言い方だな」
「そんなことは……」
ないと言える? 私が言葉に詰まったのを見て、彼は一つ頷くと私の手を掴んで店の中へと入って行った。
再び迎えを断ろうとしたときだった。目の前に見覚えのあるブルーのコンバーチブルのBMWが停車した。
『何だ、わざわざ外に出て電話してたのか。店の中でも電話が迷惑にならない場所くらいあるだろう』
私は馬鹿みたいにポカンと口を開けてしまった。ハザードを点滅させてガードレールの向こうに止まった車のウィンドウが開く。電話は切れていて、祥吾が早く来い、と手招きをした。
祥吾が迎えに来てしまった。迎えはいらないと断るつもりだったのに。
しばらくその場に立ち尽くしていた私に業を煮やしたのか、祥吾が優雅な動作で車から降りてきた。エンジンを切って、ハザードをつけたまま。ここは駐車禁止だって自分で言っていたくせに。
真っ直ぐ私の元へと歩いてくる彼は、相変わらず素敵だ。一日仕事をしていたせいか、少し皺になっているところもあるけれど、パリッとした見るからに高級そうなチャコールグレーのスーツは彼の魅力をこの上なく引き立てている。気づけば私はうっとりと彼に見惚れてしまっていた。
「ほら、ボケッとしてないで早く帰る準備をしてこい」
「……ど、どうして迎えに来ちゃったのよ」
慌てて、やっとのことでそう言うと、祥吾は途端に不愉快な顔をした。眉間に皺を寄せ、私を睨みつける。
「迎えに来られたら都合が悪いみたいな言い方だな」
「そんなことは……」
ないと言える? 私が言葉に詰まったのを見て、彼は一つ頷くと私の手を掴んで店の中へと入って行った。