強引社長の甘い罠
「ちょ、ちょっと、祥吾?」
「君の友達に、俺も挨拶をした方がよさそうだ」
「何言ってるの? そんなの必要ないってば」
「それは俺が判断するよ」
「どうしてそうなるの? 私だって分別のあるちゃんとした大人のつもりよ。自分のことは自分で決められるわ」
祥吾が足を止めた。ゆっくりと私を振り返る。彼の鋭い視線が私に突き刺さり、私は一瞬たじろいだ。祥吾は怒っている。
「今は俺の言うとおりにした方がいい」
それ以上何も言えなくなり、私は黙って祥吾に手を引かれ、テーブル席が並ぶ店の奥へと進んで行った。店内にいた客たちが――男性も女性も――興味津々の様子で私たちを見ている。その大半は、背が高く印象的なブルーの瞳の祥吾に視線が釘付けになっていた。
祥吾が堂々とした態度でぐるりと店内を見渡した。私は席を教えていないけれど、彼にはすぐ分かったらしい。当然だ。奥の四人掛けのテーブル席で、聡が立ち上がったから。
私の手を掴んでいた祥吾の手に力がこもる。彼は苦々しげに呟いた。
「なるほどね」
そのまま真っ直ぐ、聡がいる席へと向かう祥吾の後姿からは無言の圧力を感じた。私はたちまち後悔した。こんなことになるのなら、変な気を回さず正直に話せばよかったのだ。後ろめたいことなんて、何一つないんだから。私は問題をややこしくしただけだ。
「祥吾、待って。誤解よ」
「君の友達に、俺も挨拶をした方がよさそうだ」
「何言ってるの? そんなの必要ないってば」
「それは俺が判断するよ」
「どうしてそうなるの? 私だって分別のあるちゃんとした大人のつもりよ。自分のことは自分で決められるわ」
祥吾が足を止めた。ゆっくりと私を振り返る。彼の鋭い視線が私に突き刺さり、私は一瞬たじろいだ。祥吾は怒っている。
「今は俺の言うとおりにした方がいい」
それ以上何も言えなくなり、私は黙って祥吾に手を引かれ、テーブル席が並ぶ店の奥へと進んで行った。店内にいた客たちが――男性も女性も――興味津々の様子で私たちを見ている。その大半は、背が高く印象的なブルーの瞳の祥吾に視線が釘付けになっていた。
祥吾が堂々とした態度でぐるりと店内を見渡した。私は席を教えていないけれど、彼にはすぐ分かったらしい。当然だ。奥の四人掛けのテーブル席で、聡が立ち上がったから。
私の手を掴んでいた祥吾の手に力がこもる。彼は苦々しげに呟いた。
「なるほどね」
そのまま真っ直ぐ、聡がいる席へと向かう祥吾の後姿からは無言の圧力を感じた。私はたちまち後悔した。こんなことになるのなら、変な気を回さず正直に話せばよかったのだ。後ろめたいことなんて、何一つないんだから。私は問題をややこしくしただけだ。
「祥吾、待って。誤解よ」