強引社長の甘い罠
彼に引きづられるように進んで、私と祥吾、そして聡が、対面する形で座ることとなってしまった。
私の隣に腰を下ろした祥吾は、ファミレスの堅くてくすんだオレンジ色のソファに深々と背を預け腕を組んだ。目の前に座る聡を品定めするようにじっくりと眺めた後、少し顎を上げて目を細める。とても威圧的で高慢な態度だった。
そして聡はというと、恋人であるはずの私でさえ、居心地が悪くて身を竦めているというのに、いたって普通だった。テーブルの上で軽く手を組み、まっすぐに祥吾を見ている。なんだか少し嬉しそうなのは気のせい?
「システム開発の井上くん、だったよね」
とても長い沈黙の後――実際には短かったのかもしれないが――祥吾が警告するような低い声で言った。聡が頷く。
「ええ、そうです。唯の元恋人ですよ、社長」
その言葉に祥吾の体が強張ったのが分かった。聡がうっすらと笑みを浮かべる。どうして聡が急にそんな挑発的な態度を取るのか分からない。私はらしくもなく、二人の顔を交互に見比べハラハラしていた。とても口を挟めるような雰囲気じゃない。祥吾の隣で私は俯き、さらに体を硬くした。
「もちろん知っているよ。さぞや俺に言いたいことがあるんだろうね。部下である君の恋人を奪った俺に。だけど事情はおそらく君が思っているほど単純じゃないんだ。何を言っても無駄だよ。彼女だけは譲れない」
私の隣に腰を下ろした祥吾は、ファミレスの堅くてくすんだオレンジ色のソファに深々と背を預け腕を組んだ。目の前に座る聡を品定めするようにじっくりと眺めた後、少し顎を上げて目を細める。とても威圧的で高慢な態度だった。
そして聡はというと、恋人であるはずの私でさえ、居心地が悪くて身を竦めているというのに、いたって普通だった。テーブルの上で軽く手を組み、まっすぐに祥吾を見ている。なんだか少し嬉しそうなのは気のせい?
「システム開発の井上くん、だったよね」
とても長い沈黙の後――実際には短かったのかもしれないが――祥吾が警告するような低い声で言った。聡が頷く。
「ええ、そうです。唯の元恋人ですよ、社長」
その言葉に祥吾の体が強張ったのが分かった。聡がうっすらと笑みを浮かべる。どうして聡が急にそんな挑発的な態度を取るのか分からない。私はらしくもなく、二人の顔を交互に見比べハラハラしていた。とても口を挟めるような雰囲気じゃない。祥吾の隣で私は俯き、さらに体を硬くした。
「もちろん知っているよ。さぞや俺に言いたいことがあるんだろうね。部下である君の恋人を奪った俺に。だけど事情はおそらく君が思っているほど単純じゃないんだ。何を言っても無駄だよ。彼女だけは譲れない」