強引社長の甘い罠
「祥吾、起きて。電話が鳴ってるわ」

「ん……」

 少し寝ぼけているようだったけれど、祥吾はすぐに目を開けた。私を見て微笑む。

「……唯」

 彼は身を乗り出して私にキスをした。もう、やっぱり寝ぼけている。

「祥吾、電話よ。こんな時間に」

 私は祥吾を乗り越えるようにして体を伸ばし、彼のスマホを取って渡した。

「あ、ああ……ありがとう」

 そこでやっと自分の電話が鳴っていたことに気づいたらしい祥吾は、スマホを受け取りながら体を起こすと、ヘッドボードに背を預けた。画面を見て顔をしかめる。どうやらちゃんと目覚めたみたい。

「Hello」

 そして疲れて眠っている彼をたたき起こす羽目になった電話が国際電話だということもわかった。彼は英語で応答した。
 祥吾がここで電話に出たので私も体を起こした。彼が腕を伸ばして私を抱き寄せたので、私はそのまま彼の体にピタリと自分の体を寄せた。
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