強引社長の甘い罠
 そして二日後の今日、データが届いた。送られてきたメールには一般的なビジネスメールよりも少しくだけた感じの文章で、撮影時のお礼とURLが書かれていた。画像データの容量が大きいという理由で、オンラインストレージサービスを使ったらしい。パスワードとダウンロードできる期限も書いてあった。期限は一週間だ。

 私はすぐに教えられたパスワードを入力し、データを全てダウンロードしておいた。少し確認するつもりで何気なくダウンロードしたファイルを開く。そして絶句した。

 私の大きなパソコンの画面に表示されたのは、さすがプロのカメラマンが撮影した写真だ。うっとりした表情でマッサージを受けている女性は、確かに気持ち良さそうでリラックスしているのがわかる。この施術を受けたらキレイになれると思わせるようなインパクトもある。肌は白くハリがあり、みずみずしく見える。エステティックサロンのWebサイトで使うのに申し分のない写真だった。

 でも……。私の顔はきっと真っ赤だ。まさかここにきて自分がこれほどの羞恥に見舞われるとは思っていなかった。このモデルは私なのだ。うつ伏せになってうっとりと目を瞑り裸の背中を晒しているのは、紛れもなく私だ。
 撮影時には気づかなかったけど、想像以上に肌が露出している。もちろんそれは客観的に見ればいたって普通のことでおかしいところなどないに違いない。きっとそうだ。だけど客観的に見るなんて無理。祥吾がこの件について渋い顔をした理由が、本当の意味で、今、わかった。
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