強引社長の甘い罠
メイソンさんが首を振った。先ほど私が拾った時計を取り出すと、目を細めてそれを眺めている。その時計は奥様の形見ということなのだろう。
「妻のなんです」
私は頷いた。
「妻が亡くなって、こんなにも喪失感を味わうとは思ってもみませんでした。今回の旅行は、妻の国を見たくて突然思い立ってやって来てしまったんですよ」
「そうだったんですね。奥様もきっと喜ばれていることでしょうね」
私の言葉にメイソンさんは嬉しそうに頷いた。目尻に優しい皺が寄る。彼が奥さんを今でも愛しているということがひしひしと伝わってきた。私も自然と笑顔になった。
彼のように生涯をかけて人を愛するということは、言葉では簡単に言えるけれど、実際にはとても難しいことだと思う。奥さんを亡くしたことは悲しいけれど、それでも愛する人と結婚し、その死を悼むことが出来る彼はやはり幸せではないだろうか。
きっとほとんどの人は、運命の相手と結ばれない。もし運良く相手を見つけたとしても、一方通行じゃだめなのだ。私のように……。
「妻のなんです」
私は頷いた。
「妻が亡くなって、こんなにも喪失感を味わうとは思ってもみませんでした。今回の旅行は、妻の国を見たくて突然思い立ってやって来てしまったんですよ」
「そうだったんですね。奥様もきっと喜ばれていることでしょうね」
私の言葉にメイソンさんは嬉しそうに頷いた。目尻に優しい皺が寄る。彼が奥さんを今でも愛しているということがひしひしと伝わってきた。私も自然と笑顔になった。
彼のように生涯をかけて人を愛するということは、言葉では簡単に言えるけれど、実際にはとても難しいことだと思う。奥さんを亡くしたことは悲しいけれど、それでも愛する人と結婚し、その死を悼むことが出来る彼はやはり幸せではないだろうか。
きっとほとんどの人は、運命の相手と結ばれない。もし運良く相手を見つけたとしても、一方通行じゃだめなのだ。私のように……。