強引社長の甘い罠
自信に満ちたプロポーズ
「それで祥吾はアメリカに行ったきりなの?」
ピンクベージュのマニキュアを塗った細い指でコーヒーカップを掴みながら佐伯さんが言った。
十一月半ば。そろそろ日中も肌寒くなってきた。私は佐伯さんに誘われてお昼休みのランチタイム、こうして彼女と向かい合って食後のコーヒーを飲んでいる。
「はい、メイソンさんが出頭して事件が明るみになったことで、色々対応に追われているみたいです」
「……そう、大変ね」
メイソンさんが帰国してから一ヶ月半が過ぎた。
実質会社を動かしていた人物の不祥事ということで、祥吾の会社『JCラインズ』は一部の取引先から契約を切られ、その対応にも追われていたと聞いた。会社のナンバー2の不在により、祥吾がメイソンさんの役割を兼任することになったから彼は一層休む暇もなくなったようだ。だけどそれももうすぐ終わる。
「それで、二人はいつあっちに移るの?」
「ええっと……、私はまだ仕事があるので、来年の夏くらいになりそうです」
「……そう」
「あの、佐伯さん……」
「何?」
「佐伯さんは、その……祥吾のことは……」
ピンクベージュのマニキュアを塗った細い指でコーヒーカップを掴みながら佐伯さんが言った。
十一月半ば。そろそろ日中も肌寒くなってきた。私は佐伯さんに誘われてお昼休みのランチタイム、こうして彼女と向かい合って食後のコーヒーを飲んでいる。
「はい、メイソンさんが出頭して事件が明るみになったことで、色々対応に追われているみたいです」
「……そう、大変ね」
メイソンさんが帰国してから一ヶ月半が過ぎた。
実質会社を動かしていた人物の不祥事ということで、祥吾の会社『JCラインズ』は一部の取引先から契約を切られ、その対応にも追われていたと聞いた。会社のナンバー2の不在により、祥吾がメイソンさんの役割を兼任することになったから彼は一層休む暇もなくなったようだ。だけどそれももうすぐ終わる。
「それで、二人はいつあっちに移るの?」
「ええっと……、私はまだ仕事があるので、来年の夏くらいになりそうです」
「……そう」
「あの、佐伯さん……」
「何?」
「佐伯さんは、その……祥吾のことは……」