強引社長の甘い罠
祥吾がいったん言葉を区切ると、一つ、わざとらしく咳払いをした。
「彼女に手を出すな、ということです」
そう警告した祥吾がいらずらっぽい笑みを見せると、皆が面白がって急にはやし立て始めた。祥吾の社長らしからぬ発言を、フロアにいる人々は好意的に受け取ったようだ。
毎週恒例だった朝礼は、一気にお祝いムードになった。ちらりと周りの様子を窺うと、後藤社長と総務部長が顔を見合わせて苦笑しているのが見えた。きっと祥吾が去った後、私はこれでもかというくらいからかわれるに違いない。
それでも確かに幸せだった。これ以上ないほど恥ずかしくもあったけれど、彼の独占欲は最高に心地いい。
「唯」
祥吾が間近で私の名前を囁いた。顔を上げると、いつの間にかマイクは演台の上に置かれている。
「せっかくだから、全社員に証人になってもらおう」
「証人?」
私が首をかしげると、祥吾の魅力的な深いブルーの瞳が楽しげに煌いた。彼がポケットに突っ込んだ手を私の前に差し出す。
彼の瞳と同じ色のベルベットの小さな箱が握られていた。彼が蓋を開けると、私の目に眩い光が飛び込んできた。異なるカットが施された大小様々なダイヤモンドがリング部分を埋め尽くしている。見るからにゴージャスで圧倒されるその指輪は馴染みのないデザインだ。ただの指輪じゃないことくらい、誰の目にも明らかだった。
「特別に急いで作らせたんだ」
「彼女に手を出すな、ということです」
そう警告した祥吾がいらずらっぽい笑みを見せると、皆が面白がって急にはやし立て始めた。祥吾の社長らしからぬ発言を、フロアにいる人々は好意的に受け取ったようだ。
毎週恒例だった朝礼は、一気にお祝いムードになった。ちらりと周りの様子を窺うと、後藤社長と総務部長が顔を見合わせて苦笑しているのが見えた。きっと祥吾が去った後、私はこれでもかというくらいからかわれるに違いない。
それでも確かに幸せだった。これ以上ないほど恥ずかしくもあったけれど、彼の独占欲は最高に心地いい。
「唯」
祥吾が間近で私の名前を囁いた。顔を上げると、いつの間にかマイクは演台の上に置かれている。
「せっかくだから、全社員に証人になってもらおう」
「証人?」
私が首をかしげると、祥吾の魅力的な深いブルーの瞳が楽しげに煌いた。彼がポケットに突っ込んだ手を私の前に差し出す。
彼の瞳と同じ色のベルベットの小さな箱が握られていた。彼が蓋を開けると、私の目に眩い光が飛び込んできた。異なるカットが施された大小様々なダイヤモンドがリング部分を埋め尽くしている。見るからにゴージャスで圧倒されるその指輪は馴染みのないデザインだ。ただの指輪じゃないことくらい、誰の目にも明らかだった。
「特別に急いで作らせたんだ」