強引社長の甘い罠

ビーチで永遠の誓いを

　夏まっさかりの八月、アメリカ・サンディエゴ。週末の今日、目の前には雲ひとつない青空と、都会にうまく融合した海が穏やかに広がっている。今日の休暇をヨットで楽しんでいる人が、岸に向かって手を振っているのが見えた。

　サンディエゴのこの景色を私は気に入っている。天気のいい今日は、今の私の気持ちを空と海が代弁してくれているようにさえ感じる。

　私はビーチへと続く芝生の上を裸足で歩いていた。淡いブルーのＡラインドレスを着て、隣を歩く彼を見上げて微笑む。

　私の手を取りゆっくり歩いてくれる彼は、三時間前に私の夫となった。少し日焼けした肌に白いタキシード、私のドレスに合わせた淡いブルーのネクタイと同色のベストがとても似合っている。目の前の海と同じ澄んだ青い瞳の彼は、少し屈むと見上げて微笑む私の頬にキスをした。

「俺は世界一幸せな男だ」

「祥吾……」

　白い歯を見せて笑う彼はとても幸せそうだ。そしてそれは私も同じ。
　空いていた方の手でゆっくり歩く彼の袖を軽くひっぱり引き止めると、私は背伸びをして彼の頬にキスを返した。

「あなたは二番目よ。世界一幸せなのは私だもの。でも男性の中でって条件を付けるならその通りね！」

　私が弾んだ声で冗談めかして言うと、彼はますます笑みを深めた。
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