強引社長の甘い罠
「あの日、何かあったんだろう? 唯は泣いていたじゃないか。仕事のミスで叱られて泣くような君じゃないことは分かっている。それ以外の理由で、泣くようなことがあったんだ。違う?」
彼がテーブルの上で両手を組んだ。
聡には話さなければならない。でも、何て説明したらいい? 私自身わからない。
私はあの日、祥吾が言ったように、祥吾とのキスを自ら望んでいたの? だから彼は私にキスをしたの? 私を傷付けるために?
私は浮かんだその考えをすぐに打ち消した。そんなはずはない。少なくともあの時、私は祥吾とキスをするつもりではなかった。例え結果的にそうなってしまったとしても、彼が私に触れるまで、私はそんなことを考えてなどいなかった。
そう、彼が私に、触れるまでは……。
「キス、したの……」
そう白状した瞬間、聡が鋭く息を飲むのが分かった。テーブルの上で組まれていた彼の両手に力が込められたのが見て取れる。
「……私、昔、桐原社長と付き合っていたの。聡と出会ったとき、私がボロボロだったのは彼とのことが原因で。私……聡と付き合っていながら、桐原社長のことがずっと忘れられなくて……。優しくしてくれた聡に、どうしたら許してもらえるのか分からないけれど、こんな状態でこれ以上聡と一緒にいるなんてできない。本当に、ごめんなさい……」
私は認めた。はっきり“祥吾が好き”だと。忘れることができないとか、そんな曖昧なものじゃない。私は今でも祥吾を愛しているのだ。
彼がテーブルの上で両手を組んだ。
聡には話さなければならない。でも、何て説明したらいい? 私自身わからない。
私はあの日、祥吾が言ったように、祥吾とのキスを自ら望んでいたの? だから彼は私にキスをしたの? 私を傷付けるために?
私は浮かんだその考えをすぐに打ち消した。そんなはずはない。少なくともあの時、私は祥吾とキスをするつもりではなかった。例え結果的にそうなってしまったとしても、彼が私に触れるまで、私はそんなことを考えてなどいなかった。
そう、彼が私に、触れるまでは……。
「キス、したの……」
そう白状した瞬間、聡が鋭く息を飲むのが分かった。テーブルの上で組まれていた彼の両手に力が込められたのが見て取れる。
「……私、昔、桐原社長と付き合っていたの。聡と出会ったとき、私がボロボロだったのは彼とのことが原因で。私……聡と付き合っていながら、桐原社長のことがずっと忘れられなくて……。優しくしてくれた聡に、どうしたら許してもらえるのか分からないけれど、こんな状態でこれ以上聡と一緒にいるなんてできない。本当に、ごめんなさい……」
私は認めた。はっきり“祥吾が好き”だと。忘れることができないとか、そんな曖昧なものじゃない。私は今でも祥吾を愛しているのだ。