強引社長の甘い罠
「実は来週、合コンに誘われてるんです。本当はあまり乗り気じゃなかったんですけど、七海さんが行くなら別です。暇なんだったら行きましょうよ」
笑顔で誘う彼女に、すかさず及川さんも割り込んだ。
「ちょっと、何よそれ。どうして誘うのが七海さんだけなのよ」
「だって及川さんには彼氏がいますもん」
ペロッと舌を出して皆川さんが笑った。及川さんは口を突き出して少し不満そうな顔をしたけど、すぐに諦めたような笑みを浮かべた。
「まあ、いいんだけどね。本当に誘われても確かに困るし。合コンに行ったなんて彼にバレたらさすがに面倒だから。二人で楽しんでくるといいわ」
「なんだかんだ言って、及川さんも彼氏のこと愛してますよね」
皆川さんが軽い口調でからかうと、及川さんは一瞬眉根を寄せて考える素振りを見せ、「そうなのかなぁ」と曖昧な返事をした。
「それで七海さん、どうしますか? 行きますよね?」
「あー……」
私は困惑して言葉に詰まった。
正直、今はそんな気分じゃない。聡と別れたばかりというのもあるかもしれないが、もともと私は合コンのような場が苦手だった。まだ高校を卒業したばかりの頃に一度誘われて行ったことがあるけど、とても気疲れしたのを覚えている。
私の、誰とでも仲良く話せる性格が災いするのだ。誰かが一人でぽつんとしていれば気になって話題を振ってあげなければと思うし、特に話したくなくても相手の興味のある話をしなければと気を遣うし、とにかく楽しめなかった。自然にそういったことが出来る人間だったらよかったけれど、生憎私はそうじゃない。
笑顔で誘う彼女に、すかさず及川さんも割り込んだ。
「ちょっと、何よそれ。どうして誘うのが七海さんだけなのよ」
「だって及川さんには彼氏がいますもん」
ペロッと舌を出して皆川さんが笑った。及川さんは口を突き出して少し不満そうな顔をしたけど、すぐに諦めたような笑みを浮かべた。
「まあ、いいんだけどね。本当に誘われても確かに困るし。合コンに行ったなんて彼にバレたらさすがに面倒だから。二人で楽しんでくるといいわ」
「なんだかんだ言って、及川さんも彼氏のこと愛してますよね」
皆川さんが軽い口調でからかうと、及川さんは一瞬眉根を寄せて考える素振りを見せ、「そうなのかなぁ」と曖昧な返事をした。
「それで七海さん、どうしますか? 行きますよね?」
「あー……」
私は困惑して言葉に詰まった。
正直、今はそんな気分じゃない。聡と別れたばかりというのもあるかもしれないが、もともと私は合コンのような場が苦手だった。まだ高校を卒業したばかりの頃に一度誘われて行ったことがあるけど、とても気疲れしたのを覚えている。
私の、誰とでも仲良く話せる性格が災いするのだ。誰かが一人でぽつんとしていれば気になって話題を振ってあげなければと思うし、特に話したくなくても相手の興味のある話をしなければと気を遣うし、とにかく楽しめなかった。自然にそういったことが出来る人間だったらよかったけれど、生憎私はそうじゃない。