強引社長の甘い罠
鈴木課長が心配そうな声を出した。体調管理ができなかった私が悪いと思うけど、こうして心配してくれる人がいるのが嬉しい。それが自分の直属の上司だと思うと、私は職場での人間関係に恵まれていると改めて思う。
体はだるくて頭も痛くて最悪な状態だけど、心は温かくていい気分だ。
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。それと、ありがとうございます」
私がお礼を言うと、鈴木課長は優しい声で「お大事にね」と言って電話を切った。
後で病院へ行って薬をもらったら、今日は一日中寝ていよう。そうすればさすがに明日までには熱も下がるだろう。
私は布団を掛け直すと、もう一度目を閉じた。高熱で半ば朦朧とした意識は簡単に眠りの世界へと落ちていった。
どれくらい眠っていたのだろうか。鳴り響くチャイムの音で私は目を覚ました。ハッと気づいて慌てるが、だるくて体が思うように動かない。ゆっくり起き上がった私は、ふらつく足取りで玄関へと向かった。
「……はい」
ドアチェーンをしたまま、玄関のドアを開ける。ドアの隙間から最初に目に入ったのは、黒に光沢のあるシルバーのラインがところどころ斜めに入ったネクタイだった。
相手の顔の位置を予想して少し上を向いたつもりだったのに、と私はさらに顔を上げる。そして、驚きで目を見開いてしまった。
体はだるくて頭も痛くて最悪な状態だけど、心は温かくていい気分だ。
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。それと、ありがとうございます」
私がお礼を言うと、鈴木課長は優しい声で「お大事にね」と言って電話を切った。
後で病院へ行って薬をもらったら、今日は一日中寝ていよう。そうすればさすがに明日までには熱も下がるだろう。
私は布団を掛け直すと、もう一度目を閉じた。高熱で半ば朦朧とした意識は簡単に眠りの世界へと落ちていった。
どれくらい眠っていたのだろうか。鳴り響くチャイムの音で私は目を覚ました。ハッと気づいて慌てるが、だるくて体が思うように動かない。ゆっくり起き上がった私は、ふらつく足取りで玄関へと向かった。
「……はい」
ドアチェーンをしたまま、玄関のドアを開ける。ドアの隙間から最初に目に入ったのは、黒に光沢のあるシルバーのラインがところどころ斜めに入ったネクタイだった。
相手の顔の位置を予想して少し上を向いたつもりだったのに、と私はさらに顔を上げる。そして、驚きで目を見開いてしまった。