約束という名の鍵
そう言って、楓はマスターに時雨を紹介しだした。
「こんにちは、蓮下時雨です」
「こんにちは。楓ちゃんが友達を連れて来るなんて珍しいね。
もしかして彼氏かい?」
マスターはからかうように楓にたずねた。
「いいえ。彼は私の友達よ」
なんだろう……、ある意味それであっているのだがしかし、男としてなんか悲しいような……。
なんて心の中で悶々としていると、マスターの笑い声が聞こえた。
「ハハハハハ。そうかい、そうかい。まぁ、好きな席に座ってゆっくりしていきなさい。
楓ちゃんはいつものでいいかい?」
「えぇ」
「時雨君はどうする?」
「オススメってあります?」
「それならカフェオレが美味しいわよ」
楓が時雨そう勧めてきた。
「じゃあ、それで」
「かしこまりました」
マスターはそう言って準備をしはじめた。
時雨達は窓際の一番奥に座った。
楓はいつもここに座るらしく、一番落ち着く場所なのだそうだ。