約束という名の鍵


そう言って、楓はマスターに時雨を紹介しだした。


「こんにちは、蓮下時雨です」


「こんにちは。楓ちゃんが友達を連れて来るなんて珍しいね。
もしかして彼氏かい?」

マスターはからかうように楓にたずねた。


「いいえ。彼は私の友達よ」


なんだろう……、ある意味それであっているのだがしかし、男としてなんか悲しいような……。


なんて心の中で悶々としていると、マスターの笑い声が聞こえた。


「ハハハハハ。そうかい、そうかい。まぁ、好きな席に座ってゆっくりしていきなさい。
楓ちゃんはいつものでいいかい?」


「えぇ」


「時雨君はどうする?」

「オススメってあります?」


「それならカフェオレが美味しいわよ」


楓が時雨そう勧めてきた。


「じゃあ、それで」


「かしこまりました」


マスターはそう言って準備をしはじめた。


時雨達は窓際の一番奥に座った。


楓はいつもここに座るらしく、一番落ち着く場所なのだそうだ。


< 17 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop