約束という名の鍵
楓はコーヒーに少し砂糖を加えて一口飲んだ。
それにならって時雨もカフェオレに口をつけた。
少しのほろ苦さの中に牛乳のコクが口中に広がった。
「すごく美味しいね。
楓のオススメなだけあるよ」
「コーヒーも牛乳もマスターのこだわりなの。
ね、マスター?」
「コーヒーの豆も牛乳もいいものを選り抜いたからね」
マスターはそう教えてくれた。
楓は自分が褒められたかのように微笑んでいた。
「楓、コーヒー飲めるんだね。
僕は正直苦くて飲めないんだよね」
「楓ちゃんも最初は飲めなかったんだよ。
それが通う内に飲めるようになったんだ」