約束という名の鍵
そんな時雨の視線に気が付いたのか、
「なによ」
楓がコーヒーのカップで口元を隠しながらそう言った。
「いや、なんか楓可愛いなって思って」
時雨はさらっと何も考えずにそう言ったが、楓には大きな爆弾だった。
「な…なっ……!」
楓はコーヒーを危うく落としそうになるがなんとか持ちこたえた。
楓の頬はさっきとは比べ物にならないくらい、赤くなっていた。
「若いっていいねー」
マスターが呑気にそんなことを言っているが、今の楓には聞こえていないようだった。