約束という名の鍵


午前の授業は当てられることもなく、まったりとした時間が過ぎて、昼の時間。


購買にいつものように行って、幾つかお気に入りのパンを買ってきて自分の席でもぐもぐと食べていると、ふと視界に楓が入った。


楓の席は、廊下側の前から二番目の席で、時雨とはだいぶ離れた席だ。


時雨から見える楓は、背中と角度によっては少し横顔が見える程度の位置にある。


楓はチャイムが鳴ってしばらく経っているのに、まだ本を読んでいる。


そんな楓を少し観察してみる。


楓の髪は背中の中程まである長さで、黒い艶のある髪がとても綺麗だ。


< 29 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop