約束という名の鍵
そのまま授業が始まった。
先生はこの空気に気付いていないらしく、いつものように授業を進めていく。
時折、佐々木が睨んできたが笑顔で返してやった。
佐々木は悔しそうに表情を歪め、ふいっと顔を背けた。
午後の授業が全て終わり、放課後。
あのあと、佐々木は何もしてこなかった。
時々、また睨んできてはいたが今度は無視してやった。
肝心の楓はというと、いつものように本を読んでいた。
ただ、時雨が見た限りでは、本を一ページもめくっていないように見えたが。