剣華
「逃げようとしても無駄だ」

 にやりと、髭面が笑った。
 何としても俺を討ち取りたいらしい。

 俺は川を背にするように、少しだけ移動した。
 そうすれば、背後からの攻撃は避けられる。

 一人一人の構えを見る。
 髭面の男の腕は、一度立ち合っているので知っている。

 この男が師範代とすると、他の三人はそれ以下ということだ。
 もっとも刀の使い方によっては、どのような相手でも油断は出来ないが。

 俺は後から来た小柄な男が気になった。
 こいつだけ、刀を手にしていない。

 匕首を、左手で構えている。
 右手は懐の中だ。
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