剣華
 が、俺が男を倒した瞬間に、髭面が斬り込んできた。
 さらに、横から小柄な男が何かを放つ。
 礫のようだ。

 髭面も、やはり単なる木偶の坊ではない。
 冷静に、斬り込む隙を窺っていたのだろう。

 咄嗟に飛んで躱したが、俺の胸に血の線が走った。

「ちっ」

 さらに飛んで、髭面との間合いを取る。

「抜いてしまえば、最早居合は使えまい」

 髭面が、にやりと笑いながら、刀を構えた。
 高い上段。
 そのまま俺の身体を真っ二つにするような、大きな構えだ。

「別に居合だけしか使えないわけじゃない。早く片付くから使っただけだ」

 俺の言葉に、ぴくりと髭面の頬が引き攣った。
 癇に障ったようだ。
 何でも口に出すこの癖を、いい加減に何とかしないといかんな。
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