いつかきっと越えるから
転校生
次の日[憂SIDE]
「あ~今日はだな、微妙な時期だが転校生が来る」
『わぁーまじで!?』
『男?女?』
「男だ」
先生が答えると、女子の方から黄色い声が上がる
「ねぇ憂・・・転校生ってもしかして・・・」
後ろの席の沙紀が耳打ちをしてくる
「うん。たぶん昨日の屋上の件の人」
「げげっ」
沙紀は彼に落書きをしたからだと思うけど、凄く青い顔をしている
「・・・しばかれるかな」
「かもね」
「いやぁーーーーっっ!!」
「嘘、冗談。奏与に限ってそんなことはない、と思う」
「その間はなんなの?」
「だって・・・変わってるかもしれないでしょ?」
そうだ
昨日見ただけだとわからなかった内面は変わってるかもしれない・・・
三年もあってないんだ・・・逆に変わらない方がおかしい
「まぁ、覚悟はした方がいいかもしんないね・・・」
「うん」
「入っていいぞ」
「はい」
『ガラガラ』
ドアの音をたてて、やっぱり懐かしい、いとおしい顔が入ってきた
彼は黒板の前に立つと一瞬私の方を見た気がした
でもすぐに正面を見ると、口を開いた
「橘 奏与です。よろしくお願いします」
すると、女子の方からはかっこいいとか、堅物~とかいう声が聞こえる
・・・いやいや。堅物ではないと思うよ?
気さくだし・・・
「かっこいいってさ」
沙紀が後ろからからかうように言ってくる
「そうかな~」
奏与は昔から見ている顔で、馴染みすぎているのか、かっこいいという感じがつかめない
「橘、席は秋森の隣だな」
「おぅ! わかったぜ先生!」
「・・・橘ダメだ。男と男は隣にはしない」
「わかりました、先生」
「ちょっと~?私は女だよっ!」
「じゃあ代わりに、憂の隣にしてください」
・・・・・・
クラスの中に沈黙が走る
「憂? お前らって知り合いなの、うん?」
「えっと、はい。幼馴染みです」
先生に話をふられて戸惑ったけど、別に変な関係じゃないしね・・・
「そうか・・・だが、名前呼びだと色々と勘違いされるぞ」
「そうだっ!! 憂には俺がいるんだっ!!」
離れた席から、必死に抬我が叫ぶ
「そうか。昨日話してた彼氏ってこいつのことか・・・」
「え・・・奏与?」
奏与は抬我に近づいていって顔を覗き込む
いつの間にか、あのときの宣言のように私の身長よりも上の抬我を越えている
「・・・なんだよ」
それが悔しかったのか、ちょっとツンツンした感じで抬我は言った
奏与はしばらく抬我を見つめていたけど、少し笑って顔を離す
「なんだ。俺の方が勝ってんじゃん」
「んなっ?し、身長は負けてるかもしんねぇけどなぁ! 憂を好きな気持ちならー」
「俺の方が勝ってる」
・・・え?
「俺の方がお前の百倍以上に憂が好きだ」
「「えええーーーーっっ!?」」
今叫んだのは、私ではなく、抬我と沙紀だ
「ちょっと、憂! あんた告白されちゃってるよ!!」
「で、でも俺は憂の彼氏だし!!」
「どうせお前からコクったんじゃねぇの?」
「うっ」
ショックを受けている抬我はさておき・・・
え?
奏与に好きって言われた?
好き・・・
「あぁ! そっか!」
「「え?」」
睨み合っていた男子二人はこっちを振り向く
奏与の言ったこと、分かった
私だって同じ気持ちだもん・・・
「あ、でも・・・」
「・・・なんだよ」
奏与が無意識だろうけど上目使いでこっちを見てきて可愛い
「奏与って、シスコンだったの?」
『はぁ?』
私の言葉に、クラスの全員が意味不明とでもいうように声をあげる
「ちょっ、憂・・・なに言ってンの?」
沙紀が私を変な目で見てる
「え?だって、奏与は私をお姉さんとして好きなんでしょ?私だってそうだもん。昔から奏与は弟みたいで、すっごく大好きだったもん♪」
「憂・・・奏与が・・・」
「ん?」
沙紀の言葉で奏与を見てみると、なぜか奏与はスゴく落ち込んだようにしゃがみこんでいた
抬我はそれを見下ろして笑いをこらえているし、クラスのみんなは私を呆れたように見ている
「あ~おほん・・・橘、お前の今の気持ちは痛いほど察するが、転校初日からこんな騒動を起こすのは感心しないな」
「・・・スミマセン、センセイ・・・はぁ」
「おとなしく席につけ」
「ハイ」
奏与はうつむいたまま立ち上がり、とぼとぼと歩いてきて沙紀のとなりに座る
「あと・・・野崎。お前ももう少し頭を使えばなぁ・・・」
「え?使いましたよ?」
「・・・いや、いい。よし。授業を始めるか」
そう言って先生は授業を始めてしまった
残された私に、先生の言葉の意味はよくわからなかった
「あ~今日はだな、微妙な時期だが転校生が来る」
『わぁーまじで!?』
『男?女?』
「男だ」
先生が答えると、女子の方から黄色い声が上がる
「ねぇ憂・・・転校生ってもしかして・・・」
後ろの席の沙紀が耳打ちをしてくる
「うん。たぶん昨日の屋上の件の人」
「げげっ」
沙紀は彼に落書きをしたからだと思うけど、凄く青い顔をしている
「・・・しばかれるかな」
「かもね」
「いやぁーーーーっっ!!」
「嘘、冗談。奏与に限ってそんなことはない、と思う」
「その間はなんなの?」
「だって・・・変わってるかもしれないでしょ?」
そうだ
昨日見ただけだとわからなかった内面は変わってるかもしれない・・・
三年もあってないんだ・・・逆に変わらない方がおかしい
「まぁ、覚悟はした方がいいかもしんないね・・・」
「うん」
「入っていいぞ」
「はい」
『ガラガラ』
ドアの音をたてて、やっぱり懐かしい、いとおしい顔が入ってきた
彼は黒板の前に立つと一瞬私の方を見た気がした
でもすぐに正面を見ると、口を開いた
「橘 奏与です。よろしくお願いします」
すると、女子の方からはかっこいいとか、堅物~とかいう声が聞こえる
・・・いやいや。堅物ではないと思うよ?
気さくだし・・・
「かっこいいってさ」
沙紀が後ろからからかうように言ってくる
「そうかな~」
奏与は昔から見ている顔で、馴染みすぎているのか、かっこいいという感じがつかめない
「橘、席は秋森の隣だな」
「おぅ! わかったぜ先生!」
「・・・橘ダメだ。男と男は隣にはしない」
「わかりました、先生」
「ちょっと~?私は女だよっ!」
「じゃあ代わりに、憂の隣にしてください」
・・・・・・
クラスの中に沈黙が走る
「憂? お前らって知り合いなの、うん?」
「えっと、はい。幼馴染みです」
先生に話をふられて戸惑ったけど、別に変な関係じゃないしね・・・
「そうか・・・だが、名前呼びだと色々と勘違いされるぞ」
「そうだっ!! 憂には俺がいるんだっ!!」
離れた席から、必死に抬我が叫ぶ
「そうか。昨日話してた彼氏ってこいつのことか・・・」
「え・・・奏与?」
奏与は抬我に近づいていって顔を覗き込む
いつの間にか、あのときの宣言のように私の身長よりも上の抬我を越えている
「・・・なんだよ」
それが悔しかったのか、ちょっとツンツンした感じで抬我は言った
奏与はしばらく抬我を見つめていたけど、少し笑って顔を離す
「なんだ。俺の方が勝ってんじゃん」
「んなっ?し、身長は負けてるかもしんねぇけどなぁ! 憂を好きな気持ちならー」
「俺の方が勝ってる」
・・・え?
「俺の方がお前の百倍以上に憂が好きだ」
「「えええーーーーっっ!?」」
今叫んだのは、私ではなく、抬我と沙紀だ
「ちょっと、憂! あんた告白されちゃってるよ!!」
「で、でも俺は憂の彼氏だし!!」
「どうせお前からコクったんじゃねぇの?」
「うっ」
ショックを受けている抬我はさておき・・・
え?
奏与に好きって言われた?
好き・・・
「あぁ! そっか!」
「「え?」」
睨み合っていた男子二人はこっちを振り向く
奏与の言ったこと、分かった
私だって同じ気持ちだもん・・・
「あ、でも・・・」
「・・・なんだよ」
奏与が無意識だろうけど上目使いでこっちを見てきて可愛い
「奏与って、シスコンだったの?」
『はぁ?』
私の言葉に、クラスの全員が意味不明とでもいうように声をあげる
「ちょっ、憂・・・なに言ってンの?」
沙紀が私を変な目で見てる
「え?だって、奏与は私をお姉さんとして好きなんでしょ?私だってそうだもん。昔から奏与は弟みたいで、すっごく大好きだったもん♪」
「憂・・・奏与が・・・」
「ん?」
沙紀の言葉で奏与を見てみると、なぜか奏与はスゴく落ち込んだようにしゃがみこんでいた
抬我はそれを見下ろして笑いをこらえているし、クラスのみんなは私を呆れたように見ている
「あ~おほん・・・橘、お前の今の気持ちは痛いほど察するが、転校初日からこんな騒動を起こすのは感心しないな」
「・・・スミマセン、センセイ・・・はぁ」
「おとなしく席につけ」
「ハイ」
奏与はうつむいたまま立ち上がり、とぼとぼと歩いてきて沙紀のとなりに座る
「あと・・・野崎。お前ももう少し頭を使えばなぁ・・・」
「え?使いましたよ?」
「・・・いや、いい。よし。授業を始めるか」
そう言って先生は授業を始めてしまった
残された私に、先生の言葉の意味はよくわからなかった