色恋 〜Colorful Loves〜
GOLD - 黄金の雫
《黄金の雫》
―――うん、無理だ。
やっぱ無理だ。
ぜったい無理だ。
もう耐えられない。
死のう。
死んじゃおう。
死んで、夜空のお星さまになろう。
そう決心して、あたしはベランダの手すりによじ登り、腰かけた。
地上15階のマンションのベランダからは、ずいぶん遠くまで見渡せる。
びゅうっと吹き上げてくる、冬の夜の冷たい風。
都会の明るい夜空の下に、数え切れないほどの人工的な明かりが煌めいていた。
―――まあまあ綺麗じゃないの。
これが、あたしの人生の最後の瞬間。
あたしの目に映る最後の景色。
………うん、悪くない。
あたしは妙に清々しい気分で、ゆっくりと宙に身を乗り出した。
< 1 / 136 >