色恋 〜Colorful Loves〜
私が生まれた村は、都から遠く離れた山里にある。


雨が少なく土地が痩せた、ひどく貧しい農村だった。



干魃のたびに、年頃になった娘たちが村から姿を消した。


満足に畑仕事もできない女子供は、家にとっては穀潰しでしかないのだ。



私も例に洩れず、ひどい日照りが続いた十三歳の夏に、たくさんの弟妹たちを食べさせるためといって、親の手で女衒(ぜげん)に売られた身だ。



見目がよかった私は、村一番の高額な代金と引き換えに都へやって来た。



あの金があれば、弟妹たちはしばらくお腹いっぱい食べられたに違いない。



花街に売られたことを悲観などはしていない。


だってここには、私と同じような、あるいら私よりももっと悲惨な境遇の娘たちが、数え切れないくらいに溢れているのだから。




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