色恋 〜Colorful Loves〜
そんなことで遊女に謝るなんて、この人はいったいどこまでお人好しなんだろう。



金にものを言わせて私を買う男たちは、みな口調は穏やかで物腰も柔らかく、表面的には私を敬ってくれる。


でも、結局は、心の底では私を売女(ばいた)と蔑んでいる。


それは、床に入って共寝をすれば、すぐに分かることだった。


彼らは欲望のままに私の身体を抱き、痛めつけ、そのことに満足を覚えるのだ。


私が思い通りにならなければ、表情を一変させて苛立ちと侮蔑をぶつけてくる。



だから、私に謝罪の言葉をかけた男など、今まで誰ひとりいなかった。



誠一郎さまが、初めてだった。



私はなぜだか、いつもの作り笑顔がうまく浮かべられなくなって、顔を俯けた。




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