色恋 〜Colorful Loves〜
「そうだったのですか………」
誠一郎さまは、眉をひそめて呟いた。
端整な顔立ちが歪んでしまったのが残念で、私は明るい声を上げた。
「それでは、お次は誠一郎さまの番でございますよ」
「わたしの話など……面白くもなんともないでしょうが」
薄い笑みを浮かべながら、誠一郎さまは家の商いの話や、いま江戸で流行っているものなどの話をしてくれた。
閉じられた花街の中でしか生きられない私にとっては、まるで異国の物語のようで。
私は何度も驚きの声を上げてしまった。
外からやってくる客の男たちは、誰一人こんな話を聞かせてくれたことなどなかった。
「清月さまが心をこめて聞いてくださるので、俺も話していて楽しいです」
誠一郎さまが自分のことを「俺」と言った。
打ち解けてくれたようで、やけに嬉しかった。
誠一郎さまは、眉をひそめて呟いた。
端整な顔立ちが歪んでしまったのが残念で、私は明るい声を上げた。
「それでは、お次は誠一郎さまの番でございますよ」
「わたしの話など……面白くもなんともないでしょうが」
薄い笑みを浮かべながら、誠一郎さまは家の商いの話や、いま江戸で流行っているものなどの話をしてくれた。
閉じられた花街の中でしか生きられない私にとっては、まるで異国の物語のようで。
私は何度も驚きの声を上げてしまった。
外からやってくる客の男たちは、誰一人こんな話を聞かせてくれたことなどなかった。
「清月さまが心をこめて聞いてくださるので、俺も話していて楽しいです」
誠一郎さまが自分のことを「俺」と言った。
打ち解けてくれたようで、やけに嬉しかった。