色恋 〜Colorful Loves〜
あたしは佐藤がついでくれたビールのグラスをつかんで、ぐびぐびとあおった。




半分ほど飲んで、口許を拭いながらごんっと音を立ててグラスを置くと、美しい黄金色の液体がゆらゆらと揺れた。






「おっ、いい飲みっぷりじゃねえか」






佐藤が嬉しそうにからから笑う。




その顔が赤くなっているところを見ると、だいぶ酔っ払ってきたらしい。






「しかしまぁ、お前、ほんっとアホな女だなぁ。

浮気するような下らねぇ男に惚れるなんて、見る目がねぇんだよ。


つーかさ、普通分かるだろうが。

他に女いるのに気づかねえなんて、どんだけ鈍いんだよ。


しかも、浮気してた上に、別れ話メールで済ますなんて、ますますろくな男じゃねえよな。

よくもまぁそんな男に騙されたもんだ」






これ以上ないくらいにぼろくそに言われて、あたしは怒る気力も失せてしまった。






「………おっしゃる通りで」






あたしが項垂れて頷くと、佐藤は「素直じゃねえか」とけらけら笑った。






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