色恋 〜Colorful Loves〜
着信拒否、という言葉を聞いて、あたしははっと我に返った。





「そうだよね……アドレス帳から削除して、着拒すれば済む話じゃん………。


ってか、データ全部消えちゃったよね。

連絡先も写真も……うわ、最悪………」






がっくりと項垂れたあたしを見て、「やっぱバカだな、お前」と佐藤はさらにおかしそうに笑った。






「ま、呑め。呑んで忘れろ。

なんせ酒は百薬の長だからな」





「ありがと………」






あたしはスマホ入りのグラスを脇によけ、缶のままビールを喉に流し込んだ。




それを微笑みながら見ていた佐藤が、ふいに優しい声で言う。






「………ま、ご縁がなかったってことだ。


つーか、二股かけるようなしょうもねえ男だってことに、早く気づいて良かったじゃん。


騙されたままオバサンになってたら、お前の人生無駄にするとこだったな」







励ますように言った佐藤の言葉。





それを聞いた瞬間、なぜか、







ーーーあたしの涙腺は崩壊した。







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