色恋 〜Colorful Loves〜
「ね、あずさん」





「ん?」





「ため息、つきたくなったらさ、」





「うん」






橋本くんは、ふふっと楽しそうに笑いながら、大事なことを言うように、ゆっくりと言葉を吐き出した。






「俺のとこ来て、話してよ」






また、予想もしなかった言葉。




ぱちくりと瞬きをして、私は橋本くんを見つめ返す。







「疲れちゃったーとか、


もう仕事いやー帰りたいーとか、


また無茶なこと頼まれたーとか。



そーゆーの、誰にも言わないで我慢しちゃうから、


だからあずさんは、ため息ついちゃうんだよね?」







それは初耳だ。




新しい解釈だ。





そんなの、考えたこともなかった。






びっくりして、私はひとつも言葉を返せないでいる。






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