色恋 〜Colorful Loves〜
「………う……」






低い呻き声が聞こえて、あたしは振り向いた。




向こうのベッドで、裕が眠っている。





どうやら目が覚めたわけではないらしい。




あたしは鏡の前から離れて、ベッドの縁にそっと腰かけた。






「…………裕」






囁くように呼ぶと、裕は目を瞑ったまま、あたしに手を伸ばしてきた。




まさぐるように胸や首を触って、頬に辿り着くと、ぐいっと引き寄せてキスをする。






「………みなこ」






それを聞いた瞬間。






「………ふっ」






ーーーあたしは自嘲的に笑った。






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