色恋 〜Colorful Loves〜
鏡の前に立って、鏡ごしに裕を見る。




まだシーツに包まったまま呑気に眠りこけている裕。





あたしは口紅を手にとり、中身をくり出した。





鏡の中の冴えない顔を、真っ赤なルージュで塗りつぶす。






あたしから裕への、最後のメッセージ。




さぁ、なんて書こうか?








『死ね、最低男』




『くたばれ下衆野郎』




『地獄に落ちろ』




『悔い改めよ』






いろいろな案が思い浮かんだ。





どれも言い得て妙、なかなかのグッドアイディアだと思う。






………でも。




こんな恨み節を最後の最後にぶつけるのは、あたしの美学に反する。




だって、そういうの情けないじゃん?




最後くらい、毅然としてカッコイイ、オトナな女を演じたいじゃん?






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