色恋 〜Colorful Loves〜
「ありがとうございます」





私は軽く頭を下げて、そのカゴを受け取る。




そのとき、私は初めて、その店員さんの顔を見た。




明るくて屈託のない笑顔が浮かんでいて、少しびっくりする。




だって、スーパーの店員って、けっこう愛想のない人が多いイメージがあったから。




こんなふうに人懐こい笑顔を向けられたので、ちょっと面食らってしまったのだ。





私は、にこにことこちらを見つめ返してくる店員さんの胸に視線を下ろして、名札を見た。




長谷川くん。



なんか、名前まで爽やかだ。





いや、名字に爽やかとかないか。




目の前の本人のイメージに影響されちゃったんだな。




私はもう一度会釈をして、長谷川くんの視線を背中に感じながら、野菜の売り場に向かった。





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