色恋 〜Colorful Loves〜
どさ、ぐしゃ、と嫌な音がした。




あーあ、最悪。



どこの親だよ、店の中で走り回る子どもをほったらかしてるのは。




私だったら、絶対に雄介から目を離したりしない。




そうは思ったけど、ぶつかってきた男の子を叱ったり注意したりできずに、そのまま見送ってしまった私も、偉そうなことは言えないかな。



ちゃんと持ってなかったこっちだって悪いし。




床にしゃがみこんで、落としたバッグの口を開く。




中を確かめると、10入りパックの玉子の一つにヒビが入って、割れ目からとろりとした透明の液体が漏れていた。




………ほんと、運が悪い。



でも、他のは割れてないみたいだから、まだマシか。




私はため息をもらして、バッグを持って立ち上がろうとした。




そのとき。





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