色恋 〜Colorful Loves〜
袋詰めをしていると、長谷川くんが近づいてきた。





「あ、お疲れさま」





小さく声をかけると、長谷川くんはなぜかしどろもどろな感じで、





「なにか、お手伝いできること、ありますか?」





と問いかけてきた。




今日はそんなにたくさん買ったわけじゃないし、私は首を横に振る。





「そうですか」





と答えた長谷川くんの顔が、少し残念そうに見えたのは、きっと私の思い込みだ。




私はふっと視線を落として、バックを肩にかける。




長谷川くんが何も言わずにカゴを片付けてくれた。





「あ、ありがとう」




「いえ………」





長谷川くんは囁くように言ってから、腕時計に目を落とした。





< 72 / 136 >

この作品をシェア

pagetop