色恋 〜Colorful Loves〜
私はゆっくりと瞬きをしてから、はっきりと告げる。





「………ごめんなさい」





長谷川くんが眉根を寄せて、悲しそうな顔になった。





「そんなこと言ってもらえて、本当に嬉しいです。

でも………ごめんなさい」





「………なんでか、訊いてもいいですか」





長谷川くんが呟くように言った。



私は小さく頷いて、「あのね」と答える。





「私……子どもがいるんです」





その瞬間、長谷川くんの目が大きく見開かれた。





「母親なんです。だから……無理です」





俯いて囁くと、長谷川くんが「え?」と声を上げた。





「なんで、無理なんですか?」





今度は私が目を見開く番だった。





「なんで、って………」






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