オオカミくんと秘密のキス
私と凌哉くんを祝うよりも、ケーキの方が重要な様子の洋平。
「隆也くんと向こうで先に食べたら?どうせ待ちきれないんでしょ?」
「やったー♪」
私はホールのケーキが乗った皿を洋平に渡し、そばにあったケーキ用のナイフを差し出した。両手がふさがっている洋平を見かねた隆也くんが、私からナイフを受け取った。
「大丈夫か?気をつけろよ」
「うん!」
ナイフを持つ隆也くんに心配そうに注意する凌哉くんに、弟達は元気良く返事をしてテレビのある部屋に走って行った。
私と凌哉くんは一息ついたようにフォークを持ち、「いただきます」と言って料理を食べ始めた。
「それにしてもすごいご馳走だね。お母さんがこんな料理作るなんて珍しい」
「なんか悪いな。突然お邪魔したのに、こんなことをまでしてもらうなんて…しかも弟同伴で」
申し訳なさそうにお母さんに頭を下げる凌哉くんを横目で見て、また胸がドキッとしてしまう。
男の子をお母さんと会わせるのも初めて…それにこんなふうに私の親に礼儀正しくしてくれるなんて、やっぱり凌哉くんてかっこいいな。
私との事を大切にしたいって思ってくれてるから、お母さんに対してもこんなふうにちゃんとしてくれてるんだよね…
私も凌哉くんのお母さんに会ったときは、ちゃんとしなきゃな。今考えただけでも緊張するけど…
「いいのよ~前に凌哉くんが風邪引いた時あったじゃない?あの時からいつかは付き合うんじゃないかな~と思ってたし」
「そ、そうなの!?」
お母さんは冷蔵庫から緑茶を出すと、コップについで私達の手もとにそれぞれ置いてくれた。
「当たり前じゃない♪凌哉くんが沙世のことを好きなのはなんとなくわかってたし、沙世もまんざらじゃないって感じだったから、まあ時間の問題かなぁって」
「す、するどい…」
「お母さんだって一応大人なんだから、それくらいわかるわよ」
いつもおちゃらけててうるさいと思っていたお母さんが、今日は大人に見える。なんだかんだ言って、やっぱり私のことをいつも見ていてくれてるんだな…
「やっべ~変な切り方しちゃった!」
「え?ちょっと!あんた何やってんの!!
どう切ったらケーキをこんな状態にできんのよっ」
リビングの隣の部屋で騒いでいる洋平をお母さんが様子を見に行くと、騒がしさが増して余計にうるさい。洋平の隣にいる隆也くんは苦笑いをしていた。
そんな光景を見て、私と凌哉くんは顔を見合わせて笑う。
今日はすっごくいい日だ…
こんな幸せ日を私は一生忘れない…
「イエーイ!」
「洋平待って~」
数時間後。帰ることにした凌哉くんと隆也くんを、私と洋平がアパートの下まで見送りに来た。
「ごめんね。お母さん酔っぱらって寝ちゃってて…恥ずかしいところ見られちゃったね」
凌哉くんがまだいるのに、ソファーでいびきかいて爆睡してたし。
「そんなの気にすんなよ。俺は面白かったし」
「う…」
面白かったっていう感想…それはそれで恥ずかしい。
「でっけー虫発見!」
「見せて~」
近くではしゃぐ洋平と隆也くんを、私と凌哉くんはなんとなく眺めている。
洋平達がいるから、バイバイするときくっついたり出来ないんだよね…
さっき、凌哉くんがアパートの裏で私にキスした理由が今になってなんとなくわかった気がする…
「遅くまで悪かったな。おばさんにもお礼言っておいて」
「あ、うん!こっちこそ…遅くまでごめんね。今日はありがとう」
チラッと弟達を見るとさっきまで2人の世界に浸っていたのに、今は私と凌哉くんをじーっと見ている。
「…じゃ、おやすみ」
「う、うん!またね」
この空気に気まずくなり、私と凌哉くんはぎこちなくそう言って別れた。凌哉くんと隆也くんが並んで帰って行く背中を眺めていると、すごく寂しい気持ちになった…
時間てあっという間だなぁ…
もっと一緒にいたいよ…
「はぁ…」
思わずため息が漏れてしまうと、隣にいる洋平が私の顔を覗き込む。
「…俺と隆也…邪魔だったかな?」
「は!?」
「隆也くんと向こうで先に食べたら?どうせ待ちきれないんでしょ?」
「やったー♪」
私はホールのケーキが乗った皿を洋平に渡し、そばにあったケーキ用のナイフを差し出した。両手がふさがっている洋平を見かねた隆也くんが、私からナイフを受け取った。
「大丈夫か?気をつけろよ」
「うん!」
ナイフを持つ隆也くんに心配そうに注意する凌哉くんに、弟達は元気良く返事をしてテレビのある部屋に走って行った。
私と凌哉くんは一息ついたようにフォークを持ち、「いただきます」と言って料理を食べ始めた。
「それにしてもすごいご馳走だね。お母さんがこんな料理作るなんて珍しい」
「なんか悪いな。突然お邪魔したのに、こんなことをまでしてもらうなんて…しかも弟同伴で」
申し訳なさそうにお母さんに頭を下げる凌哉くんを横目で見て、また胸がドキッとしてしまう。
男の子をお母さんと会わせるのも初めて…それにこんなふうに私の親に礼儀正しくしてくれるなんて、やっぱり凌哉くんてかっこいいな。
私との事を大切にしたいって思ってくれてるから、お母さんに対してもこんなふうにちゃんとしてくれてるんだよね…
私も凌哉くんのお母さんに会ったときは、ちゃんとしなきゃな。今考えただけでも緊張するけど…
「いいのよ~前に凌哉くんが風邪引いた時あったじゃない?あの時からいつかは付き合うんじゃないかな~と思ってたし」
「そ、そうなの!?」
お母さんは冷蔵庫から緑茶を出すと、コップについで私達の手もとにそれぞれ置いてくれた。
「当たり前じゃない♪凌哉くんが沙世のことを好きなのはなんとなくわかってたし、沙世もまんざらじゃないって感じだったから、まあ時間の問題かなぁって」
「す、するどい…」
「お母さんだって一応大人なんだから、それくらいわかるわよ」
いつもおちゃらけててうるさいと思っていたお母さんが、今日は大人に見える。なんだかんだ言って、やっぱり私のことをいつも見ていてくれてるんだな…
「やっべ~変な切り方しちゃった!」
「え?ちょっと!あんた何やってんの!!
どう切ったらケーキをこんな状態にできんのよっ」
リビングの隣の部屋で騒いでいる洋平をお母さんが様子を見に行くと、騒がしさが増して余計にうるさい。洋平の隣にいる隆也くんは苦笑いをしていた。
そんな光景を見て、私と凌哉くんは顔を見合わせて笑う。
今日はすっごくいい日だ…
こんな幸せ日を私は一生忘れない…
「イエーイ!」
「洋平待って~」
数時間後。帰ることにした凌哉くんと隆也くんを、私と洋平がアパートの下まで見送りに来た。
「ごめんね。お母さん酔っぱらって寝ちゃってて…恥ずかしいところ見られちゃったね」
凌哉くんがまだいるのに、ソファーでいびきかいて爆睡してたし。
「そんなの気にすんなよ。俺は面白かったし」
「う…」
面白かったっていう感想…それはそれで恥ずかしい。
「でっけー虫発見!」
「見せて~」
近くではしゃぐ洋平と隆也くんを、私と凌哉くんはなんとなく眺めている。
洋平達がいるから、バイバイするときくっついたり出来ないんだよね…
さっき、凌哉くんがアパートの裏で私にキスした理由が今になってなんとなくわかった気がする…
「遅くまで悪かったな。おばさんにもお礼言っておいて」
「あ、うん!こっちこそ…遅くまでごめんね。今日はありがとう」
チラッと弟達を見るとさっきまで2人の世界に浸っていたのに、今は私と凌哉くんをじーっと見ている。
「…じゃ、おやすみ」
「う、うん!またね」
この空気に気まずくなり、私と凌哉くんはぎこちなくそう言って別れた。凌哉くんと隆也くんが並んで帰って行く背中を眺めていると、すごく寂しい気持ちになった…
時間てあっという間だなぁ…
もっと一緒にいたいよ…
「はぁ…」
思わずため息が漏れてしまうと、隣にいる洋平が私の顔を覗き込む。
「…俺と隆也…邪魔だったかな?」
「は!?」