オオカミくんと秘密のキス
思いがけない洋平の言葉にもう11時近い時間だというのに、大声をあげてしまった。





「ななな、何言ってんのっ!?そんなわけないじゃん!」


洋平の奴、いつもは鈍感のくせにこうゆうときに変な気を使うなんて…





「ほら家に入るよ!あんたが寝る時間は、とっくに過ぎてるんだからね」

「へいへい」


私は洋平と家に入り、後片付けをしてお風呂を済ませると夜中の1時になっていた。

明日は春子達と宿題をやるから何か手作りお菓子でも持っていこうと思ってたけど、今の私にはそんな体力は残っていないのでまたにします。



みんなごめんね…

明日はお菓子の代わりに、みんなに報告することがあるよ…


私ね、凌哉くんの彼女になったよ…








「*※〒¥♯~」


ベットの上でタオルケットに潜りながら、恥ずかしくなり一人で言葉にできない感情と戦う。



凌哉くんの彼女なんて…本当にとんでもない話だよね。こんなこと凌哉くんに言ったら、きっと怒られるだろうけど…


明日みんなに何て言おうかな。

こうゆう報告って初めてだから、なんて言ったらいいかわかんないよ~






ブブブ…


ん…?


すると、枕元に置いていたスマホが震えた。私はタオルケットから出てスマホを手に取り画面を見ると、凌哉くんからLINEが来ていた。

心臓は一気に飛び跳ね、さっきまでとまた違うドキドキに襲われる。





凌哉{寝てる?

沙世{寝てないっ(*⌒▽⌒*)



すぐに返事をすると、またすぐに凌哉くんからレスが来る。





凌哉{明日って何してる?

沙世{春子達と夏休みの宿題やる約束してるよ_〆(・ω・o)



この前置きは…もしかして明日も会えるってことなのかな!?





凌哉{夕方からでもいいから少し会える?

沙世{いいよ(≧▽≦)会いたい♡



やっぱり!

嬉しすぎて思わずハートマーク送っちゃった…!





凌哉{俺も会いたい。明日また連絡する。おやすみ





「くううぅ……♡」


“俺も会いたい”という言葉を見て胸がキュッと締め付けられ、変な声を出してしまった。

さすがにキモいな私…浮かれるのもいいけど、普通にしなきゃ。




私は凌哉くんに返事をして、そのままスマホを握って眠りについた。

寝て少ししか経っていないのに気がつくともう外は朝になっていて、私は窓から差し込む光りを見て嬉しくなった。

今日もまた凌哉くんに会えるんだ…











「うそ!尾神くんと付き合うことになった!!?」

「とうとうきたかー♪」

「きゃー!おめでとうございます!!」


お昼過ぎ、約束通り4人で集まった私達。寧々ちゃんの家で宿題をやる予定だったが、なんだかノリで近所のファーストフード店に来てしまいそこで宿題をすることにした。

それぞれ飲み物や軽食を頼んで4人掛けの席についたあと、私は凌哉くんのことをみんなに報告した。





「良かったねぇ~なんかマジで嬉しいんだけどぉ」


春子は目をウルウルとさせている。私や多美子ちゃんと寧々ちゃんもつられて泣きそうだ。





「本っ当におめでとう!良かったね沙世!」

「うん、ありがとう」


優しく微笑んでくれるみんなに、私は心から感謝した。こんな友達がいるなんて私は幸せ者だよ。






「それでぇ?もうチュゥとかはしたのかなぁ??」

「んー??」


いやらしい口調と目つきをしてくる春子と多美子ちゃんに、私はスッと目をそらした。





「内緒」

「えー教えてよ!つまんなーい」
< 101 / 210 >

この作品をシェア

pagetop