オオカミくんと秘密のキス
俺は電話を耳に当てながら、拳を思い切り握った。
「それでね…そのケーキ屋さんはa町にあるから、もしかしたら沙世ちゃんはそっちの方にいるんじゃないかしら…?」
「a町?」
「そう!a町の駅前のケーキ屋さんよ!」
そこって確か隣町のケーキ屋だよな。小さい店だけどおしゃれで美味しいとか言って、お袋がよく行ってる所だ。
「これは私の推測だけど…沙世ちゃんは多分a町の方にいるんじゃないかしら?ケーキ屋さんに寄った帰りに雨が降ってきたから、どこかで雨をしのいでるのかもしれないわ…」
お袋の言葉には妙に納得がいった。きっとそれがほぼ正解だと思う…
「ただわからないのは沙世と連絡がつかない理由よね…」
「…ああ、それもそうだけど…俺的には妃華の事もわからないけどな」
ガキの頃からの付き合いだから、あいつのことは信用してたのに…今はあいつに裏切られた気分。
「…ヤキモチ妬いっちゃったのよ…幼なじみに彼女が出来たから、ちょっと意地悪しちゃったんじゃない?」
「だとしても、やっていい事とダメな事ってあるだろ」
こんなの意地悪なんてかわいく括るなよ。れっきとした嫌がらせだ。
「そうよね…でも……あんまり妃華ちゃんを怒らないであげてよ。自分から白状したんだし、それに今日は凌くんの誕生日なんだしさ」
まあまあと俺を宥めるお袋に、俺はイラッとしてすぐに言葉を返す。
「沙世がいない誕生日なんか…意味ねえんだよ」
プツンッ
ツーツーツー…
俺は一方的に電話を切り、今来た方向に戻ってまた走り出した。
ここからだと、a町に行くには俺んちの方から戻った方が早いな…
沙世…ケーキ屋の近くで雨宿りしてるのか…
俺がお前を絶対探してやる。
だから待ってろ…
体中に雨が当たり前が見えにくくて、走ると足にはねる雨がまた足を拒む。
早くa町に行きたいのに…イライラすんな本当に…
ザーーーーー…
ザーーーーーーー…
ゴロゴロ…
ドーーーーンっ…!!!!
かなり大きな雷の音がして、耳が痛くてキーンとなる。
どっかに落ちたか?
沙世の奴…雷とか平気なのかな?怖がってないといいけど…
ひたすら前に進むしかない中、俺はずっと沙世のことを考えていた。
あいつが今どうしてるのか心配でたまらない。考える程に、どうしてもマイナスのことが浮かび余計に胸が張り裂けそうになった。
とにかく無事でいて欲しい…
沙世…
「ハァハァ…」
駅の方からまた沙世のアパートを通り、外から沙世の家のベランダを見る。
多分いないよな…
いないと思うけど…一応…
俺はまたアパートに入って沙世の家のベルを押してみたが、誰も出ては来なかった。
髪から顔に落ちる雫を手でゴシゴシと拭き、アパートから出てまた走り始める。
こんなに雨に打たれたことは人生で初めてだ…
服を着たまま水に濡れるのって、思っていたよりも気持ち悪い…
俺の事よりも沙世の事だ。
あいつ濡れてねえかな…
もう少しで俺の家が見えきた頃、俺は一度足を緩めて立ち止まった。
さすがに疲れた…
俺は息を切らしながら歩き、顔についた雨を着ているTシャツで拭いた。
一旦帰って着替えても、また濡れるから意味がないか…それに……沙世と会えてない状態で今妃華に会ったら、俺なにするかわかんねえな。
角を曲がって家の前の通りに出て、家の門がだんだんと見えてくると…妃華への怒りが一気に込み上げてきた。
あいつは家の中で雨に打たれることもなく、ケーキを取りに行かされたわけでもない…
マジでムカつく。
笑えねえんだよ…
俺は腹から込み上げてくる怒りと戦っていた…
同時に落ち着けと、何度も自分に言い聞かせる。
「…凌哉くん?」
え…
「それでね…そのケーキ屋さんはa町にあるから、もしかしたら沙世ちゃんはそっちの方にいるんじゃないかしら…?」
「a町?」
「そう!a町の駅前のケーキ屋さんよ!」
そこって確か隣町のケーキ屋だよな。小さい店だけどおしゃれで美味しいとか言って、お袋がよく行ってる所だ。
「これは私の推測だけど…沙世ちゃんは多分a町の方にいるんじゃないかしら?ケーキ屋さんに寄った帰りに雨が降ってきたから、どこかで雨をしのいでるのかもしれないわ…」
お袋の言葉には妙に納得がいった。きっとそれがほぼ正解だと思う…
「ただわからないのは沙世と連絡がつかない理由よね…」
「…ああ、それもそうだけど…俺的には妃華の事もわからないけどな」
ガキの頃からの付き合いだから、あいつのことは信用してたのに…今はあいつに裏切られた気分。
「…ヤキモチ妬いっちゃったのよ…幼なじみに彼女が出来たから、ちょっと意地悪しちゃったんじゃない?」
「だとしても、やっていい事とダメな事ってあるだろ」
こんなの意地悪なんてかわいく括るなよ。れっきとした嫌がらせだ。
「そうよね…でも……あんまり妃華ちゃんを怒らないであげてよ。自分から白状したんだし、それに今日は凌くんの誕生日なんだしさ」
まあまあと俺を宥めるお袋に、俺はイラッとしてすぐに言葉を返す。
「沙世がいない誕生日なんか…意味ねえんだよ」
プツンッ
ツーツーツー…
俺は一方的に電話を切り、今来た方向に戻ってまた走り出した。
ここからだと、a町に行くには俺んちの方から戻った方が早いな…
沙世…ケーキ屋の近くで雨宿りしてるのか…
俺がお前を絶対探してやる。
だから待ってろ…
体中に雨が当たり前が見えにくくて、走ると足にはねる雨がまた足を拒む。
早くa町に行きたいのに…イライラすんな本当に…
ザーーーーー…
ザーーーーーーー…
ゴロゴロ…
ドーーーーンっ…!!!!
かなり大きな雷の音がして、耳が痛くてキーンとなる。
どっかに落ちたか?
沙世の奴…雷とか平気なのかな?怖がってないといいけど…
ひたすら前に進むしかない中、俺はずっと沙世のことを考えていた。
あいつが今どうしてるのか心配でたまらない。考える程に、どうしてもマイナスのことが浮かび余計に胸が張り裂けそうになった。
とにかく無事でいて欲しい…
沙世…
「ハァハァ…」
駅の方からまた沙世のアパートを通り、外から沙世の家のベランダを見る。
多分いないよな…
いないと思うけど…一応…
俺はまたアパートに入って沙世の家のベルを押してみたが、誰も出ては来なかった。
髪から顔に落ちる雫を手でゴシゴシと拭き、アパートから出てまた走り始める。
こんなに雨に打たれたことは人生で初めてだ…
服を着たまま水に濡れるのって、思っていたよりも気持ち悪い…
俺の事よりも沙世の事だ。
あいつ濡れてねえかな…
もう少しで俺の家が見えきた頃、俺は一度足を緩めて立ち止まった。
さすがに疲れた…
俺は息を切らしながら歩き、顔についた雨を着ているTシャツで拭いた。
一旦帰って着替えても、また濡れるから意味がないか…それに……沙世と会えてない状態で今妃華に会ったら、俺なにするかわかんねえな。
角を曲がって家の前の通りに出て、家の門がだんだんと見えてくると…妃華への怒りが一気に込み上げてきた。
あいつは家の中で雨に打たれることもなく、ケーキを取りに行かされたわけでもない…
マジでムカつく。
笑えねえんだよ…
俺は腹から込み上げてくる怒りと戦っていた…
同時に落ち着けと、何度も自分に言い聞かせる。
「…凌哉くん?」
え…