オオカミくんと秘密のキス
「そんな奴だったのかよっ」て…凌哉くんは何のこと言ってるの?
2人に何かあったの…?
「沙世にケーキ屋行かせてこんな嵐の中1人で歩かせるなんて…お前のやったことはマジで最低だぞ」
え…
凌哉くんのその言葉に一瞬止める手の力が緩んだ。
今のその言い方だと、妃華ちゃんが私にケーキを取りに行かせたのって…もしかしてわざとなの?
「こんな天気になるって思ってなかったのっ…!ほんのちょっと意地悪してやろうと思っただけ…それだけ…」
「言い訳してんじゃねえよ。お前の理由がどうであれやった事実は変わらねえだろ」
妃華ちゃんの掴む凌哉くんの手の力が強くなる。私はそんな凌哉くんを止めるように、片方の腕を更に引っ張った。
「ごめんなさい…」
その迫力にとうとう泣き始める妃華ちゃんを見て、凌哉くんはイライラしている様子。
まずい…
このままじゃ本気でキレるかも…
妃華ちゃんのしたことに私も多少は腹が立っているけど、凌哉くんがこれ以上怒ることだけは絶対に避けたい…
「妃華ちゃんだけのせいじゃないよ!私も充電なくなってスマホの電源なかったし…それに本当に急な雨だったしさっ!」
ね?と凌哉くんをなだめるように言う私。
なんで妃華ちゃんをフォローしてるんだ?と思ったけれど私にも非があったのは事実だから、それはちゃんと認めて謝らないとね。
「…」
凌哉くんは何も言わずに怖い顔をして、妃華ちゃんの腕を強引に離した。私と響子さんは凌哉くんの様子を伺いながらビクビクする。
「と、とりあえず2人共体を拭いたら?雨で濡れて気持ち悪いでしょ?今タオル持ってくるわね」
小走りでバスルームに入っていく響子さん。妃華ちゃんは、そのまま泣きながらリビングに入って行ってしまった…
私は掴んでいる凌哉くんの手をそっと離すと、近くに洋平と隆也くんがいることに気づく。
2人は場の空気を読むように大人しくしていて、どこか不安げな表情をしていた。私は2人にそっと近づいてそれぞれの頭を軽く撫でる。
「心配かけてごめんね…」
私がそう声をかけると2人は横に首を振り
、少し安心したように微笑んだ。いつもは能天気でうるさい洋平も私を心配してくれていたのか、なんだか大人しい。
弟達のそんな表情を見て、自分の行動を改めて反省した。
「ほらタオルよ~」
するとバスルームからタオルを持った響子さんが出てきて、私と凌哉くんに手渡した。
私はお礼を言ったあと顔や腕をタオルで拭く。ちらっと凌哉くんを見ると、受け取ったタオルを首にかけて履いている靴を無言で脱いでいた。
まだ怒ってるのかな…
私も心配かけちゃっただけに、こっちから声かけるのがなんか怖いよ…
「体を拭いたら着替えた方がいいわ。沙世ちゃんの服は私が貸してあげるわね」
「俺が貸す」
ボソッと言う凌哉くんの言葉に、私と響子さんが同時にビクッと体が反応する。
「あ、そ、そうね…凌くんの服の方がいいわよね」
気を使うように笑う響子さんに、私もぎこちなく笑って頷いた。
「行くぞ」
「う、うん!お邪魔します」
ビクビクしながら私もサンダルを脱ぐと、家の中に入り2階へ上がる凌哉くんの後をついて行った。
階段を上がる凌哉くんの後ろ姿さえも、なんだか怒っているように見える…
せっかくの誕生日なのに…怒らせるようなことして本当にごめんね…
心配かけてごめんなさい…
「待ってて」
「うん…」
2階の一番奥の部屋の前まで来ると、凌哉くんはドアを開けて中に入ってそっと閉めた。私は廊下で凌哉くんを待ちながら、壁にもたれかかる。
こんなのいつもの私達じゃないよね…
ちゃんと謝った方がいいけど、謝るタイミング見失っちゃった…
ガチャ…
またドアが開き服を持った凌哉くんが出てきて、私に差し出した。
「あ、ありがとう…」
「廊下の突き当たりに風呂があるから入れ」
「え?」
この家…2階にもお風呂があるの!?
「そのままだと風邪引くからちゃんと入れよ」
「はーい…」
口調は少し強いけど私を気付かってくれてるんだ…
私は胸がチクチクと痛みながら廊下の突き当たりのドアを開けて、電気を付けて中に入った。
そこは個室のシャワールームで浴槽はないタイプのシャワーのみの部屋。一畳くらいのスペースに洗面台とミラーがあり、その横のおしゃれな棚にタオルが数枚積まれてあった。
すごい…コインシャワーみたい。
これは何のためのシャワーなんだろ…とにかく、家に2つもシャワーがあるのはすごい…
私は部屋の鍵をかけて持っていたタオルを洗面台に置いたあと、服を脱いでシャワーを浴びた。
冷たくなった体がシャワーのお湯で段々と温かくなる…
凌哉くんもきっと冷えてるだろうし、シャワー浴びるよね…
私はさっとシャワーを済ますとすぐに出て、タオルで体を拭き貸してもらった服に着替えた。
ガチャ…
2人に何かあったの…?
「沙世にケーキ屋行かせてこんな嵐の中1人で歩かせるなんて…お前のやったことはマジで最低だぞ」
え…
凌哉くんのその言葉に一瞬止める手の力が緩んだ。
今のその言い方だと、妃華ちゃんが私にケーキを取りに行かせたのって…もしかしてわざとなの?
「こんな天気になるって思ってなかったのっ…!ほんのちょっと意地悪してやろうと思っただけ…それだけ…」
「言い訳してんじゃねえよ。お前の理由がどうであれやった事実は変わらねえだろ」
妃華ちゃんの掴む凌哉くんの手の力が強くなる。私はそんな凌哉くんを止めるように、片方の腕を更に引っ張った。
「ごめんなさい…」
その迫力にとうとう泣き始める妃華ちゃんを見て、凌哉くんはイライラしている様子。
まずい…
このままじゃ本気でキレるかも…
妃華ちゃんのしたことに私も多少は腹が立っているけど、凌哉くんがこれ以上怒ることだけは絶対に避けたい…
「妃華ちゃんだけのせいじゃないよ!私も充電なくなってスマホの電源なかったし…それに本当に急な雨だったしさっ!」
ね?と凌哉くんをなだめるように言う私。
なんで妃華ちゃんをフォローしてるんだ?と思ったけれど私にも非があったのは事実だから、それはちゃんと認めて謝らないとね。
「…」
凌哉くんは何も言わずに怖い顔をして、妃華ちゃんの腕を強引に離した。私と響子さんは凌哉くんの様子を伺いながらビクビクする。
「と、とりあえず2人共体を拭いたら?雨で濡れて気持ち悪いでしょ?今タオル持ってくるわね」
小走りでバスルームに入っていく響子さん。妃華ちゃんは、そのまま泣きながらリビングに入って行ってしまった…
私は掴んでいる凌哉くんの手をそっと離すと、近くに洋平と隆也くんがいることに気づく。
2人は場の空気を読むように大人しくしていて、どこか不安げな表情をしていた。私は2人にそっと近づいてそれぞれの頭を軽く撫でる。
「心配かけてごめんね…」
私がそう声をかけると2人は横に首を振り
、少し安心したように微笑んだ。いつもは能天気でうるさい洋平も私を心配してくれていたのか、なんだか大人しい。
弟達のそんな表情を見て、自分の行動を改めて反省した。
「ほらタオルよ~」
するとバスルームからタオルを持った響子さんが出てきて、私と凌哉くんに手渡した。
私はお礼を言ったあと顔や腕をタオルで拭く。ちらっと凌哉くんを見ると、受け取ったタオルを首にかけて履いている靴を無言で脱いでいた。
まだ怒ってるのかな…
私も心配かけちゃっただけに、こっちから声かけるのがなんか怖いよ…
「体を拭いたら着替えた方がいいわ。沙世ちゃんの服は私が貸してあげるわね」
「俺が貸す」
ボソッと言う凌哉くんの言葉に、私と響子さんが同時にビクッと体が反応する。
「あ、そ、そうね…凌くんの服の方がいいわよね」
気を使うように笑う響子さんに、私もぎこちなく笑って頷いた。
「行くぞ」
「う、うん!お邪魔します」
ビクビクしながら私もサンダルを脱ぐと、家の中に入り2階へ上がる凌哉くんの後をついて行った。
階段を上がる凌哉くんの後ろ姿さえも、なんだか怒っているように見える…
せっかくの誕生日なのに…怒らせるようなことして本当にごめんね…
心配かけてごめんなさい…
「待ってて」
「うん…」
2階の一番奥の部屋の前まで来ると、凌哉くんはドアを開けて中に入ってそっと閉めた。私は廊下で凌哉くんを待ちながら、壁にもたれかかる。
こんなのいつもの私達じゃないよね…
ちゃんと謝った方がいいけど、謝るタイミング見失っちゃった…
ガチャ…
またドアが開き服を持った凌哉くんが出てきて、私に差し出した。
「あ、ありがとう…」
「廊下の突き当たりに風呂があるから入れ」
「え?」
この家…2階にもお風呂があるの!?
「そのままだと風邪引くからちゃんと入れよ」
「はーい…」
口調は少し強いけど私を気付かってくれてるんだ…
私は胸がチクチクと痛みながら廊下の突き当たりのドアを開けて、電気を付けて中に入った。
そこは個室のシャワールームで浴槽はないタイプのシャワーのみの部屋。一畳くらいのスペースに洗面台とミラーがあり、その横のおしゃれな棚にタオルが数枚積まれてあった。
すごい…コインシャワーみたい。
これは何のためのシャワーなんだろ…とにかく、家に2つもシャワーがあるのはすごい…
私は部屋の鍵をかけて持っていたタオルを洗面台に置いたあと、服を脱いでシャワーを浴びた。
冷たくなった体がシャワーのお湯で段々と温かくなる…
凌哉くんもきっと冷えてるだろうし、シャワー浴びるよね…
私はさっとシャワーを済ますとすぐに出て、タオルで体を拭き貸してもらった服に着替えた。
ガチャ…