オオカミくんと秘密のキス
バスルームを出ると、凌哉くんが廊下の壁にもたれかかって腕を組んでいた。
凌哉くんも着替えたのかさっきとは違う服を着ていて、ロングタオルを肩にかけていた。
「シャワー貸してくれてありがとう。凌哉くんも入るよね?」
「俺も1階の入ってから大丈夫」
あ、そっか…
1階のお風呂使ったのか…
「服でかいな…」
私の着ている服を凌哉くんはじっと見る。
「あ、うん…でもいいの。凌哉くんのだしねっ」
貸してくれたその服は上下セットのジャージで、私が着るとブカブカでかなり余裕のあるサイズだ。
だけど凌哉くんの服を着ていることが嬉しくて、そんなこと全然気にならなかった。
「…そうか。これドライヤー…髪ちゃんと乾かせよ」
凌哉くんは素っ気なく言って、手に持っていたドライヤーを私に差し出した。
「…うん…ありがとう」
「下にいるから」
ドライヤーを受け取ると、凌哉くんは私に背を向けた。私はとっさに凌哉くんの背中に抱きつく。
「待って!」
私が引き止めると、凌哉くんは立ち止まりこっちを振り向く。
「ごめんね…」
「…」
凌哉くんの背中に顔をぴたりとつけて、私はそう言った。
「…心配かけてごめんなさい。本当に私も悪かったの…だから怒らないで」
その言葉は、遠まわしに妃華ちゃんのことを許して欲しいということも含まれていた。
「…んとに…ずるいよなお前は」
「え…」
私の手が緩むと、凌哉くんはクルッとこっちを向いて私を見下ろした。
「…別に怒ってねえし」
「…嘘つき」
さっきからずっと怒ってるくせに…いつもと全然違うもん…
「本当に怒ってねえよ…ただ…」
「ただ?…ぁっ」
凌哉くんは私の頭の後ろに手を回すと、自分の胸に引き寄せて私を抱きしめた。
「お前に何かあったのかと思ったら…怖かった……その怖さが今も残ってて…消えねえんだよ」
「…凌哉くん」
その時…震える凌哉くんの声を聞いて、心の底から「ごめんなさい」と思った。
もうこの人を不安になんてさせちゃいけない…絶対に…
私は凌哉くんの着ているTシャツをギュッと掴み、答えるように自分からの抱きついた。
「…帰りにコンビニで充電器買ってやる。コードなくても充電できるやつ…それを出かける時は必ず持っていけよ。肌身離さず…それを約束するなら許してやる」
ちょっとだけいつもの凌哉くんの顔に戻ったような気がした私は、すぐに笑顔で口を開く。
「いいよ、私が自分で買うから凌哉くんは…………ひぃ!」
気を使って遠慮したつもりなのに、凌哉くんはまた怖い顔をして機嫌が元に戻ってしまったようだ。
「俺が買ってやるつってんだよ」
「は…はい!そうでした!」
いつの間にか私は抱きしめていた凌哉くんの体から離れて、姿勢よくその場に立ち何度も頷いていた。
ここは素直に従った方がいいな…
せっかくいつもの凌哉くんに戻りかけてるのに…また気まずくなりたくないし。
「…髪。俺が乾かしてやるよ」
「…!」
すると凌哉くんは私が手に持ってたドライヤーを取り、私の濡れた髪を手で触る。
ここは悪いからって「自分でやるから大丈夫だよ」とか言ったら、絶対にダメな雰囲気だよね。
「…いいの?ありがとう」
「洗面所にコンセントあるから」
私達はシャワー室の部屋に入り洗面所の前まで行くと、凌哉くんはドライヤーをコンセントを指して私の髪を丁寧に乾かしてくれた。
凌哉くんに髪を乾かしてもらえるなんて…なんて贅沢なんだろう。
今日は凌哉くんが主役なのに、なんだか私の方がおもてなししてもらってるみたい…
「細い髪だな…」
髪を乾かし終わると、凌哉くんは私の長い髪の毛を触りながらボソッと言う。
「そお?」
凌哉くんも着替えたのかさっきとは違う服を着ていて、ロングタオルを肩にかけていた。
「シャワー貸してくれてありがとう。凌哉くんも入るよね?」
「俺も1階の入ってから大丈夫」
あ、そっか…
1階のお風呂使ったのか…
「服でかいな…」
私の着ている服を凌哉くんはじっと見る。
「あ、うん…でもいいの。凌哉くんのだしねっ」
貸してくれたその服は上下セットのジャージで、私が着るとブカブカでかなり余裕のあるサイズだ。
だけど凌哉くんの服を着ていることが嬉しくて、そんなこと全然気にならなかった。
「…そうか。これドライヤー…髪ちゃんと乾かせよ」
凌哉くんは素っ気なく言って、手に持っていたドライヤーを私に差し出した。
「…うん…ありがとう」
「下にいるから」
ドライヤーを受け取ると、凌哉くんは私に背を向けた。私はとっさに凌哉くんの背中に抱きつく。
「待って!」
私が引き止めると、凌哉くんは立ち止まりこっちを振り向く。
「ごめんね…」
「…」
凌哉くんの背中に顔をぴたりとつけて、私はそう言った。
「…心配かけてごめんなさい。本当に私も悪かったの…だから怒らないで」
その言葉は、遠まわしに妃華ちゃんのことを許して欲しいということも含まれていた。
「…んとに…ずるいよなお前は」
「え…」
私の手が緩むと、凌哉くんはクルッとこっちを向いて私を見下ろした。
「…別に怒ってねえし」
「…嘘つき」
さっきからずっと怒ってるくせに…いつもと全然違うもん…
「本当に怒ってねえよ…ただ…」
「ただ?…ぁっ」
凌哉くんは私の頭の後ろに手を回すと、自分の胸に引き寄せて私を抱きしめた。
「お前に何かあったのかと思ったら…怖かった……その怖さが今も残ってて…消えねえんだよ」
「…凌哉くん」
その時…震える凌哉くんの声を聞いて、心の底から「ごめんなさい」と思った。
もうこの人を不安になんてさせちゃいけない…絶対に…
私は凌哉くんの着ているTシャツをギュッと掴み、答えるように自分からの抱きついた。
「…帰りにコンビニで充電器買ってやる。コードなくても充電できるやつ…それを出かける時は必ず持っていけよ。肌身離さず…それを約束するなら許してやる」
ちょっとだけいつもの凌哉くんの顔に戻ったような気がした私は、すぐに笑顔で口を開く。
「いいよ、私が自分で買うから凌哉くんは…………ひぃ!」
気を使って遠慮したつもりなのに、凌哉くんはまた怖い顔をして機嫌が元に戻ってしまったようだ。
「俺が買ってやるつってんだよ」
「は…はい!そうでした!」
いつの間にか私は抱きしめていた凌哉くんの体から離れて、姿勢よくその場に立ち何度も頷いていた。
ここは素直に従った方がいいな…
せっかくいつもの凌哉くんに戻りかけてるのに…また気まずくなりたくないし。
「…髪。俺が乾かしてやるよ」
「…!」
すると凌哉くんは私が手に持ってたドライヤーを取り、私の濡れた髪を手で触る。
ここは悪いからって「自分でやるから大丈夫だよ」とか言ったら、絶対にダメな雰囲気だよね。
「…いいの?ありがとう」
「洗面所にコンセントあるから」
私達はシャワー室の部屋に入り洗面所の前まで行くと、凌哉くんはドライヤーをコンセントを指して私の髪を丁寧に乾かしてくれた。
凌哉くんに髪を乾かしてもらえるなんて…なんて贅沢なんだろう。
今日は凌哉くんが主役なのに、なんだか私の方がおもてなししてもらってるみたい…
「細い髪だな…」
髪を乾かし終わると、凌哉くんは私の長い髪の毛を触りながらボソッと言う。
「そお?」