オオカミくんと秘密のキス
もう忘れよう…
あれは無かった事にしちゃおう……
それがいいよね。
「では、これから席替えをします。それぞれ自由に席を移動してください」
その日の6時間目のHRは席替えだった。
くじ引きなどではなく、個人で席を自由に変えてもいいという珍しい替え方。私としてはくじ引きよりは全然いいやり方だと思った。
「沙世~」
「春子~」
自分の机を引いて私の隣の席に来た春子。私達は事前に打ち合わせして、私は今までの席から動かずにそのままで、その隣の席に春子が来るという作戦を立てていた。
窓側や後ろの席は人気があるから、一番前の廊下側の私の席が人気がないのはわかっていた。春子と隣同士になれればどこでもいいし、私の席はこのまま変わらなくていい為私としては楽な席替えだ。
「沙世と隣~♪」
「嬉しい!これからはこの距離で話せるね!」
ほのぼのとした雰囲気の中、春子と平和な気持ちになっていた時だった…
ガタ…
ん?
体を隣の春子の方に向けて話していたら、私の後ろの席に机が移動して来て一瞬横に目を向けた時だった…
その瞬間…私のほのぼの時間は終わり、体が石のように固まった…
私の後ろの席に尾神くんが移動してきたのだ。しかも、さっきからこっちをじーっと見てるのは気のせい…?
な、なんでここのなの!?
窓側とかいい席いっぱいある中でなぜここの席なの!!?
も、もしかして…この前の遠足で私がダイブした件で仕返ししにしたのかな?
い、いいや。とにかく今は知らんぷりしちゃお。
私は気づいてないフリをして、体を前に向けて顔だけ春子の方を向いた体制になる。
後ろは見ない!絶対に見ない!!
後ろはいない!誰もいない!!!
「俺ここね!お、まだ喋ったことないお二人さんが前にいる!」
元気のいい男子の声がして、私は思わずまた後ろを見てしまった。後ろといっても私は斜め横で、その男子は春子の後ろの席に移動してきたかわいらしいイケメンくんだ。
この人は確か…遠足のバスの席で尾神くんの隣に座ってた柳田くんだ。
席替えでも尾神くんの隣に来るということは、やっぱり仲いいのかな…
ちらっと尾神くんの方を見るとバチっと目が合ってしまい、私はすごく不自然な感じで目をそらしてしまう。
「俺は柳田 圭吾(やなぎだ けいご)!よろしく!」
私と春子にニッと笑う柳田くんは、人懐こい雰囲気を漂わせていた。
高校に入学してから、こんなふうにちゃんと男子に自己紹介されたのは初めてだ。ま、初めて男子に声をかけられて、初キスされた人は私の後ろに座ってる人ですけどね!
「私…小川春子です。よろしく」
自分の声にコンプレックスがある春子は、いつもより低い声を出して声のことを指摘されないようにしているようだった。
「あ、私は萩原 …」
「沙世だろ」
自分の下の名前を私よりも先に尾神くんが言い、思わず尾神くんを見ると面白い物でも見るかのような目で私を見ている。
なんなのこいつ…
マジ意味わかんない…
「へー2人共可愛い!なんか大人っぽいし」
「お、大人っぽい!?沙世はわかるけど私かなり童顔だしめっちゃチビだけど」
柳田くんの言葉にツッコミをいれるように話す春子。
「アハハ。そうだね、小川は見た目は可愛いかな?でも雰囲気は大人っぽいと思うよ」
「ど、どうも…」
春子が照れている。こんなふうに男子と話すのってかなり久々なんじゃ…?
あれは無かった事にしちゃおう……
それがいいよね。
「では、これから席替えをします。それぞれ自由に席を移動してください」
その日の6時間目のHRは席替えだった。
くじ引きなどではなく、個人で席を自由に変えてもいいという珍しい替え方。私としてはくじ引きよりは全然いいやり方だと思った。
「沙世~」
「春子~」
自分の机を引いて私の隣の席に来た春子。私達は事前に打ち合わせして、私は今までの席から動かずにそのままで、その隣の席に春子が来るという作戦を立てていた。
窓側や後ろの席は人気があるから、一番前の廊下側の私の席が人気がないのはわかっていた。春子と隣同士になれればどこでもいいし、私の席はこのまま変わらなくていい為私としては楽な席替えだ。
「沙世と隣~♪」
「嬉しい!これからはこの距離で話せるね!」
ほのぼのとした雰囲気の中、春子と平和な気持ちになっていた時だった…
ガタ…
ん?
体を隣の春子の方に向けて話していたら、私の後ろの席に机が移動して来て一瞬横に目を向けた時だった…
その瞬間…私のほのぼの時間は終わり、体が石のように固まった…
私の後ろの席に尾神くんが移動してきたのだ。しかも、さっきからこっちをじーっと見てるのは気のせい…?
な、なんでここのなの!?
窓側とかいい席いっぱいある中でなぜここの席なの!!?
も、もしかして…この前の遠足で私がダイブした件で仕返ししにしたのかな?
い、いいや。とにかく今は知らんぷりしちゃお。
私は気づいてないフリをして、体を前に向けて顔だけ春子の方を向いた体制になる。
後ろは見ない!絶対に見ない!!
後ろはいない!誰もいない!!!
「俺ここね!お、まだ喋ったことないお二人さんが前にいる!」
元気のいい男子の声がして、私は思わずまた後ろを見てしまった。後ろといっても私は斜め横で、その男子は春子の後ろの席に移動してきたかわいらしいイケメンくんだ。
この人は確か…遠足のバスの席で尾神くんの隣に座ってた柳田くんだ。
席替えでも尾神くんの隣に来るということは、やっぱり仲いいのかな…
ちらっと尾神くんの方を見るとバチっと目が合ってしまい、私はすごく不自然な感じで目をそらしてしまう。
「俺は柳田 圭吾(やなぎだ けいご)!よろしく!」
私と春子にニッと笑う柳田くんは、人懐こい雰囲気を漂わせていた。
高校に入学してから、こんなふうにちゃんと男子に自己紹介されたのは初めてだ。ま、初めて男子に声をかけられて、初キスされた人は私の後ろに座ってる人ですけどね!
「私…小川春子です。よろしく」
自分の声にコンプレックスがある春子は、いつもより低い声を出して声のことを指摘されないようにしているようだった。
「あ、私は萩原 …」
「沙世だろ」
自分の下の名前を私よりも先に尾神くんが言い、思わず尾神くんを見ると面白い物でも見るかのような目で私を見ている。
なんなのこいつ…
マジ意味わかんない…
「へー2人共可愛い!なんか大人っぽいし」
「お、大人っぽい!?沙世はわかるけど私かなり童顔だしめっちゃチビだけど」
柳田くんの言葉にツッコミをいれるように話す春子。
「アハハ。そうだね、小川は見た目は可愛いかな?でも雰囲気は大人っぽいと思うよ」
「ど、どうも…」
春子が照れている。こんなふうに男子と話すのってかなり久々なんじゃ…?