オオカミくんと秘密のキス
妃華ちゃん…とうとう顔を出さなかったな…
幼馴染みでしかも好きな人からあんなふうに言われたら、そりゃあショックだよね。きっと傷ついたんだよ…
私から謝りに行った方がいいのかな…
「あ、後片付け手伝います!」
ケーキを完食してぼーっと妃華ちゃんのことを考えていたら、響子さんが後片付けを始めていた。見かねた私は慌てて立ち上がり、汚れた食器を持って洗い物をしている響子さんに近づく。
「あら座ってていいのに…凌くんとゆっくりしてて」
「いえ!やらせてください!」
こんな大量に洗い物があるのに、くつろいでなんかいられません!
「…そお?じゃあ向こうの汚れた食器を全部持ってきてもらって…あとは洗った食器拭いてくれる?」
「はい!」
良かった…私にもやれることがあった。少しでも役に立てればいいし。
「ごめんなさいね…彼氏のお母さんの手前じゃ気を使うわよね」
食器を全て流し場に持ってきて布巾で皿を拭く作業に入ると、隣にいる響子さんが洗い物をしながら申し訳なさそうに言った。
「いえ!そんなこと…」
「それに彼氏の誕生日に親とやるなんて普通は嫌よね~」
「そんなことないですよ!」
思い切り否定する私を見て、響子さんは笑った。
「毎日誕生日は家族でやってるっていうのもあるけど、今年は凌くんの彼女が来るっていうから絶対みんなでやりたかったのよ。私はすごく沙世ちゃんに会いたかったしね」
「そうなんですか?私も凌哉くんのお母さんにずっと会いたかったので、積極的に参加させていただきました」
会話をしながら拭いた食器を重ねていく私。リビングでは、弟達と凌哉くんでテレビゲームを始めたようだ。
「そう言ってもらえると嬉しいわ!これからも、毎年家族の誕生日には沙世ちゃんも来て欲しいな。凌くんの彼女なんだし、もう家族みたいなものじゃない?」
「ええ!そんなふうに思ってもらえるんですか!?」
私…まだ凌哉くんと付き合いも浅いのに…
「凌くんが選んだ人だもの…ずっと彼女をつくらなかった子が本当に好きな人を見つけたから、私にとっては必然的にその相手ともう家族みたいな存在なのよ。凌くんにとって、沙世ちゃんは一時的とか軽い気持ちとかそんなものじゃないと思うし」
「そう…ですかね…」
彼氏のお母さんの目の前で本気で照れてしまうなんて、後から思い出して見た時にすごく恥ずかしいだろうな…
「凌哉は少し面倒くさい所あるかもしれないけど、末永くよろしくお願いしますね」
「は、はい!こちらこそよろしくお願いします!!!」
響子さんに深く頭を下げると、リビングでゲームをしていた凌哉くんが「何やってんだお前」と言ってきて響子さんは大笑いした。
そしてしばらくして後片付けを終えると、響子さんは手を洗いながら口を開く。
「さーて。じゃあプレゼントタイムといきますかぁ」
張り切ったように言う響子さんを見て、私はハッとすっかり忘れていたことを思い出す。
プレゼント!
そういえばどこに置いたっけ?
私は慌ててリビングから出て玄関に向かうと、濡れてラッピングがふやけた凌哉くんへのプレゼントと、ケーキ屋で買った紙袋に入った手土産が傘立ての横に置いてある。
あーぁ…
せっかく寧々ちゃんにかわいくラッピングしてもらったのにな…
このクッキーの詰め合わせが入った紙袋も、かわいいデザインなのに雨に濡れてしわしわになっちゃってる…
私はとりあえず手土産の入った紙袋だけ持ってリビングに戻ると、ちょうど響子さんが凌哉くんにプレゼントを渡しているところだった。
「じゃ~~~~~ん!凌くんが好きなブランドの靴よ~」
響子さんは凌哉くんに靴をプレゼントしたらしい。箱からかっこいいスニーカーを出す凌哉くんは、無表情のまま響子さんにお礼を言った。
「…サンキュ」
幼馴染みでしかも好きな人からあんなふうに言われたら、そりゃあショックだよね。きっと傷ついたんだよ…
私から謝りに行った方がいいのかな…
「あ、後片付け手伝います!」
ケーキを完食してぼーっと妃華ちゃんのことを考えていたら、響子さんが後片付けを始めていた。見かねた私は慌てて立ち上がり、汚れた食器を持って洗い物をしている響子さんに近づく。
「あら座ってていいのに…凌くんとゆっくりしてて」
「いえ!やらせてください!」
こんな大量に洗い物があるのに、くつろいでなんかいられません!
「…そお?じゃあ向こうの汚れた食器を全部持ってきてもらって…あとは洗った食器拭いてくれる?」
「はい!」
良かった…私にもやれることがあった。少しでも役に立てればいいし。
「ごめんなさいね…彼氏のお母さんの手前じゃ気を使うわよね」
食器を全て流し場に持ってきて布巾で皿を拭く作業に入ると、隣にいる響子さんが洗い物をしながら申し訳なさそうに言った。
「いえ!そんなこと…」
「それに彼氏の誕生日に親とやるなんて普通は嫌よね~」
「そんなことないですよ!」
思い切り否定する私を見て、響子さんは笑った。
「毎日誕生日は家族でやってるっていうのもあるけど、今年は凌くんの彼女が来るっていうから絶対みんなでやりたかったのよ。私はすごく沙世ちゃんに会いたかったしね」
「そうなんですか?私も凌哉くんのお母さんにずっと会いたかったので、積極的に参加させていただきました」
会話をしながら拭いた食器を重ねていく私。リビングでは、弟達と凌哉くんでテレビゲームを始めたようだ。
「そう言ってもらえると嬉しいわ!これからも、毎年家族の誕生日には沙世ちゃんも来て欲しいな。凌くんの彼女なんだし、もう家族みたいなものじゃない?」
「ええ!そんなふうに思ってもらえるんですか!?」
私…まだ凌哉くんと付き合いも浅いのに…
「凌くんが選んだ人だもの…ずっと彼女をつくらなかった子が本当に好きな人を見つけたから、私にとっては必然的にその相手ともう家族みたいな存在なのよ。凌くんにとって、沙世ちゃんは一時的とか軽い気持ちとかそんなものじゃないと思うし」
「そう…ですかね…」
彼氏のお母さんの目の前で本気で照れてしまうなんて、後から思い出して見た時にすごく恥ずかしいだろうな…
「凌哉は少し面倒くさい所あるかもしれないけど、末永くよろしくお願いしますね」
「は、はい!こちらこそよろしくお願いします!!!」
響子さんに深く頭を下げると、リビングでゲームをしていた凌哉くんが「何やってんだお前」と言ってきて響子さんは大笑いした。
そしてしばらくして後片付けを終えると、響子さんは手を洗いながら口を開く。
「さーて。じゃあプレゼントタイムといきますかぁ」
張り切ったように言う響子さんを見て、私はハッとすっかり忘れていたことを思い出す。
プレゼント!
そういえばどこに置いたっけ?
私は慌ててリビングから出て玄関に向かうと、濡れてラッピングがふやけた凌哉くんへのプレゼントと、ケーキ屋で買った紙袋に入った手土産が傘立ての横に置いてある。
あーぁ…
せっかく寧々ちゃんにかわいくラッピングしてもらったのにな…
このクッキーの詰め合わせが入った紙袋も、かわいいデザインなのに雨に濡れてしわしわになっちゃってる…
私はとりあえず手土産の入った紙袋だけ持ってリビングに戻ると、ちょうど響子さんが凌哉くんにプレゼントを渡しているところだった。
「じゃ~~~~~ん!凌くんが好きなブランドの靴よ~」
響子さんは凌哉くんに靴をプレゼントしたらしい。箱からかっこいいスニーカーを出す凌哉くんは、無表情のまま響子さんにお礼を言った。
「…サンキュ」