オオカミくんと秘密のキス
「返却された本戻して来るね」
「うん!私はカード整理終わったら窓の鍵閉めとくよ」
「わかった!お願い~」
私は立ち上がりカウンターを出ると、返却boxに入ってる数冊の本を取り本棚
に戻す作業へ。
1冊ずつタイトルを見ながら、ジャンルごとに分かれている本棚にそれぞれしまう。まだ図書委員になって間もない為、少し時間がかかりながらも作業は進める。
そして最後の一冊は分厚くて結構重い本が残った。
これ文学全集?
こんな難しそうな本借りてる人いるんだ…
本のタイトルを眺めながら本棚を探すと、一番奥の壁側の本棚に『文学全集』のプレートが貼られている。
あったあった!
早く返して帰ろ。
奥の壁に向かって歩き本棚を曲がった時…
「ぁ…」
思わず足が止まってしまう…
ドサッ
おまけに、手に持っていた分厚い本を床に落としてしまった。
私が本を棚にしまおうと向かった一番奥の本棚の壁側に、床に座りながらあぐらをかいてうたた寝をしていた尾神くんがいたのだ。
思わず足を止めてしまった理由はそれ。驚いて本を落としてしまった音で尾神くんは目を開き、眠そうな顔をしながらこっちに目を向けてきた。
「…来たか」
「ぇ…」
尾神くんは体を伸ばすと、その場から立ち上がり私が落とした本を拾ってくれる。そしてゆっくりと私に近づくと本を私に差し出した。
「ん…」
「あり…がとう…」
本を受け取ると私は尾神くんを警戒するように文学全集の本を前に向けて、まるで盾のように扱う。
「何やってんの?」
「え?あ、いや…別に…」
本を持ち変えて、頬をポリポリとかきながらアハハと笑う私。
「もう委員会終わったのか?」
「え…あ、うん…この本戻したら終わり。尾神くんはここで何してたの?」
図書室に来ることは変じゃないけど、こんな日も当たらない薄暗い場所で寝てるなんて…ちょっと変だよね?
「いい寝床だったから寝てた。あとお前を待ってたんだ」
「え?私を??」
何で?
「お前と話したかったんだよ。席も近くなったし」
「なにそれ…」
それでわざわざこんな人気が無いところで待ってたの?
この人って実は変わった人だったりする…?
「なんか教室では目も合わせてくれねえし…話すタイミングないからさ」
尾神くんはズボンのポケットに手を入れて、壁に持たれかかる。
「そ、それはそっちが…」
あ…やばい。遠足のキスのことに触れてもいいのかな…
あのキスが原因で尾神くんのこと避けてるって言ってもいいの?
「そっちが何?」
「あ、えっ…と……」
ゆっくりとこっちに近づいて来る尾神くん。怖くなった私は後ろに足を引くと、本棚に背中がぶつかり行き止まり。
尾神くんは意地悪そうに笑い、私にぐっと顔を近づけてきた。とっさに目をつぶると尾神くんはクスッと笑った。
「…またキスされると思った?」
「なっ…!」
その言葉を聞いて目を開けた私は尾神くんを見つめ、同時に遠足の時のキスのことを思い出して顔がカァァと赤くなってしまった…
キスのこと覚えてるんだ…
ってことは、あの時寝ぼけてたわけじゃなくちゃんと起きてたの…?
じゃあ…あのキスって一体……
「これって…ここに戻せばいいの?」
「へ?」
気がつくと私の手から持っていた本が消えていて、いつの間にか尾神くんがその本を持ち文学全集が並べてある本棚の空きのあるスペースを指さしていた。
「うん、そこで大丈夫…」
私がそう言うと尾神くんは本を本棚にしまってくれて、ずらりと並べられた本を目で追って眺めている。
「うん!私はカード整理終わったら窓の鍵閉めとくよ」
「わかった!お願い~」
私は立ち上がりカウンターを出ると、返却boxに入ってる数冊の本を取り本棚
に戻す作業へ。
1冊ずつタイトルを見ながら、ジャンルごとに分かれている本棚にそれぞれしまう。まだ図書委員になって間もない為、少し時間がかかりながらも作業は進める。
そして最後の一冊は分厚くて結構重い本が残った。
これ文学全集?
こんな難しそうな本借りてる人いるんだ…
本のタイトルを眺めながら本棚を探すと、一番奥の壁側の本棚に『文学全集』のプレートが貼られている。
あったあった!
早く返して帰ろ。
奥の壁に向かって歩き本棚を曲がった時…
「ぁ…」
思わず足が止まってしまう…
ドサッ
おまけに、手に持っていた分厚い本を床に落としてしまった。
私が本を棚にしまおうと向かった一番奥の本棚の壁側に、床に座りながらあぐらをかいてうたた寝をしていた尾神くんがいたのだ。
思わず足を止めてしまった理由はそれ。驚いて本を落としてしまった音で尾神くんは目を開き、眠そうな顔をしながらこっちに目を向けてきた。
「…来たか」
「ぇ…」
尾神くんは体を伸ばすと、その場から立ち上がり私が落とした本を拾ってくれる。そしてゆっくりと私に近づくと本を私に差し出した。
「ん…」
「あり…がとう…」
本を受け取ると私は尾神くんを警戒するように文学全集の本を前に向けて、まるで盾のように扱う。
「何やってんの?」
「え?あ、いや…別に…」
本を持ち変えて、頬をポリポリとかきながらアハハと笑う私。
「もう委員会終わったのか?」
「え…あ、うん…この本戻したら終わり。尾神くんはここで何してたの?」
図書室に来ることは変じゃないけど、こんな日も当たらない薄暗い場所で寝てるなんて…ちょっと変だよね?
「いい寝床だったから寝てた。あとお前を待ってたんだ」
「え?私を??」
何で?
「お前と話したかったんだよ。席も近くなったし」
「なにそれ…」
それでわざわざこんな人気が無いところで待ってたの?
この人って実は変わった人だったりする…?
「なんか教室では目も合わせてくれねえし…話すタイミングないからさ」
尾神くんはズボンのポケットに手を入れて、壁に持たれかかる。
「そ、それはそっちが…」
あ…やばい。遠足のキスのことに触れてもいいのかな…
あのキスが原因で尾神くんのこと避けてるって言ってもいいの?
「そっちが何?」
「あ、えっ…と……」
ゆっくりとこっちに近づいて来る尾神くん。怖くなった私は後ろに足を引くと、本棚に背中がぶつかり行き止まり。
尾神くんは意地悪そうに笑い、私にぐっと顔を近づけてきた。とっさに目をつぶると尾神くんはクスッと笑った。
「…またキスされると思った?」
「なっ…!」
その言葉を聞いて目を開けた私は尾神くんを見つめ、同時に遠足の時のキスのことを思い出して顔がカァァと赤くなってしまった…
キスのこと覚えてるんだ…
ってことは、あの時寝ぼけてたわけじゃなくちゃんと起きてたの…?
じゃあ…あのキスって一体……
「これって…ここに戻せばいいの?」
「へ?」
気がつくと私の手から持っていた本が消えていて、いつの間にか尾神くんがその本を持ち文学全集が並べてある本棚の空きのあるスペースを指さしていた。
「うん、そこで大丈夫…」
私がそう言うと尾神くんは本を本棚にしまってくれて、ずらりと並べられた本を目で追って眺めている。