オオカミくんと秘密のキス
声を上げて言い合う2人。友達が言い争うその光景を見て、なんだか悲しい気持ちになってきた…
あんなに仲が良かった事が今は嘘みたいに思えてくる…
こんなの嫌だよ…
見たくないよ…
「一番悪いのは俺だよ。沙世の事をお前に相談してたのに樹里と…」
絢人は「ごめん」と謝りながら、春子を真っ直ぐと見つめて言った。
「…本当に最低よね。ちょっと樹里が胸がデカイからってコロッと騙されちゃってさ。一途な人だと思ってたのに幻滅したし」
「わかってるよ。でも今は本当に樹里の事が好きで、真剣に付き合ってるんだよ!」
絢人の顔を見れば嘘を言っているみたいには見えない。
「真剣とかそんなのどーでもいいの!とにかくもう私に関わらないでっ!」
「なんでそんな事言うんだよ?お前だってもう彼氏いるんだろ?なら昔の事は水に流してくれてもいいじゃねえか」
その絢人の言葉を聞いて、春子はふんと顔を背けて目をそらした。
絢人の言うこともわからなくはない。
過去に色々あったとしても、今はそれぞれ幸せな形にはなってる…
軽く考えればそのままでいいんじゃないのかって思わなくもないんだけど…
でも春子の事も無下にはできないな。
好きだった人と親友に裏切られた上、しかも2人がイチャイチャしてる現場を見ちゃったってなると…同情しちゃうな。
イチャイチャってどの程度だろ…
私も凌哉くんが他の女の子とイチャついてるところなんて見たら、考えただけで泣きたくなっちゃうよ…
「とにかく…私は許さないわよ。謝られたって困るからね」
「…」
許してくれない春子に、絢人と樹里は顔を見合わせて黙り込んでしまった…
私もみんなにかける言葉が見つからなくて、どうしたらいいのかわからなくなった。
「はぁ…」
屋上の出入り口付近で、凌哉くんと並んでしゃがみ込みながら少し離れたところにいる絢人と樹里を眺める。
さっきからため息ばかり出る…
春子は柳田くんに付き添われてトイレに行き、何も解決しないまま時間だけが過ぎていた。
どうしたらいいんだろう…
さっきからそればかり。
考えれば考えるだけ解決策なんて見い出せない。
落ち込む樹里を慰める絢人を見て胸が痛み、絢人に対して無理して笑顔を見せる樹里を見て切ない気持ちになった。
「…何考えてんの?」
ぼーっとしている私に、隣にいる凌哉くんが話しかけて来た。
「…中学の友達に好きだったなんて言われたから、ちょっと気持ちが揺らいだりしてんの?」
「え…」
今の自分の気持ちを凌哉くんに聞いて欲しかったのに…私が考えている事と全く違う質問をされて驚いた。
「…何言ってるの……?そんなことあるわけないじゃん…」
もしかして…私信用されてない?
絢人が私のことを前に想っててくれてたとしても、私は凌哉くんのことが好きなのに…
そんな事思われてるなんて、なんかショックだな…
「ごめん…ちょっと嫉妬してて心にもない事言った」
凌哉くんはそう言って私に寄りかかって来た。私は安心したようにクスクスと笑う。
良かった…
信用されてないわけじゃなかったんだ…
私も凌哉くんに寄り添い、まるで甘えるようにそっと手を握った。
「私は凌哉くんだけだよ…」
あんなに仲が良かった事が今は嘘みたいに思えてくる…
こんなの嫌だよ…
見たくないよ…
「一番悪いのは俺だよ。沙世の事をお前に相談してたのに樹里と…」
絢人は「ごめん」と謝りながら、春子を真っ直ぐと見つめて言った。
「…本当に最低よね。ちょっと樹里が胸がデカイからってコロッと騙されちゃってさ。一途な人だと思ってたのに幻滅したし」
「わかってるよ。でも今は本当に樹里の事が好きで、真剣に付き合ってるんだよ!」
絢人の顔を見れば嘘を言っているみたいには見えない。
「真剣とかそんなのどーでもいいの!とにかくもう私に関わらないでっ!」
「なんでそんな事言うんだよ?お前だってもう彼氏いるんだろ?なら昔の事は水に流してくれてもいいじゃねえか」
その絢人の言葉を聞いて、春子はふんと顔を背けて目をそらした。
絢人の言うこともわからなくはない。
過去に色々あったとしても、今はそれぞれ幸せな形にはなってる…
軽く考えればそのままでいいんじゃないのかって思わなくもないんだけど…
でも春子の事も無下にはできないな。
好きだった人と親友に裏切られた上、しかも2人がイチャイチャしてる現場を見ちゃったってなると…同情しちゃうな。
イチャイチャってどの程度だろ…
私も凌哉くんが他の女の子とイチャついてるところなんて見たら、考えただけで泣きたくなっちゃうよ…
「とにかく…私は許さないわよ。謝られたって困るからね」
「…」
許してくれない春子に、絢人と樹里は顔を見合わせて黙り込んでしまった…
私もみんなにかける言葉が見つからなくて、どうしたらいいのかわからなくなった。
「はぁ…」
屋上の出入り口付近で、凌哉くんと並んでしゃがみ込みながら少し離れたところにいる絢人と樹里を眺める。
さっきからため息ばかり出る…
春子は柳田くんに付き添われてトイレに行き、何も解決しないまま時間だけが過ぎていた。
どうしたらいいんだろう…
さっきからそればかり。
考えれば考えるだけ解決策なんて見い出せない。
落ち込む樹里を慰める絢人を見て胸が痛み、絢人に対して無理して笑顔を見せる樹里を見て切ない気持ちになった。
「…何考えてんの?」
ぼーっとしている私に、隣にいる凌哉くんが話しかけて来た。
「…中学の友達に好きだったなんて言われたから、ちょっと気持ちが揺らいだりしてんの?」
「え…」
今の自分の気持ちを凌哉くんに聞いて欲しかったのに…私が考えている事と全く違う質問をされて驚いた。
「…何言ってるの……?そんなことあるわけないじゃん…」
もしかして…私信用されてない?
絢人が私のことを前に想っててくれてたとしても、私は凌哉くんのことが好きなのに…
そんな事思われてるなんて、なんかショックだな…
「ごめん…ちょっと嫉妬してて心にもない事言った」
凌哉くんはそう言って私に寄りかかって来た。私は安心したようにクスクスと笑う。
良かった…
信用されてないわけじゃなかったんだ…
私も凌哉くんに寄り添い、まるで甘えるようにそっと手を握った。
「私は凌哉くんだけだよ…」