オオカミくんと秘密のキス
気がついたら心の声が口から漏れてしまっていて、言った後ですぐ恥ずかしくなりカァァと顔が熱くなる。



う…勢いでめっちゃ恥ずかしいこと言っちゃったよ…

いつもはこんなキャラじゃないのにな。





「沙世」

「ん?」

「…場所変えようか」


は!?




真剣な顔をして、なんだかいやらしい手つきをする凌哉くん。





「バカ!」

「いて」


私が腕をペシッと叩くと、凌哉くんは少しふてくされたような顔をした。





「なんで怒るんだよ!お前が可愛い事言うから悪いんだろ」

「だ、だからって変なこと言わないでよ!」


話がそれるし、それにこんな事してたら春子達に失礼だよ。

これは深刻な問題だし…






「い、今はふざけるのやめてよね!話がぶれるし…それにこれは真剣な問題なんだから」

「へいへい」


口を尖らせて両手を頭の後に回す凌哉くんは、おふざけモードから少しだけ真剣な顔つきに変わる。







「…で。本当は何考えてたの?」


絢人と樹里に目を向けながら、凌哉くんは優しい口調で私に聞いた。

私は凌哉くんの隣にぴったりとくっつきながら、正直な気持ちを打ち明けた…






「…どうすればまた皆が仲良くなれるかなって思ってさ」

「…」


この関係を続けていくのは嫌。どうにかして少しでも和解出来ないのかな…


一度崩れてしまった友達関係を崩すのは、やっぱり無理なの?








「…出来ないこともないよ」

「え?」


凌哉くんはふんと得意げに笑うと、私に近づいて耳打ちして来た。






「ま、まさかっ……本気!?」

「これしかねえだろ」

「…」


その凌哉くんの提案に私は驚き、そしてとっさに躊躇した…

でも…






「や、やるしかないよねっ」

「そうこなくっちゃな」


私と凌哉くんはぎゅっと手を握り合い、まるで気合いを入れるように小さな声で「おー!」と声を出した。






ガチャ



すると春子と柳田くんがトイレから戻って来て、私と凌哉くんはその場から立ち上がると4人を集めた。








「みんな…提案があるんだけど……」


友達みんなが私に注目する中、私は内心不安でいっぱいだった。

だけど何でもいいからキッカケをつくらないと、本当に友達関係が終わってしまう…その焦りから私は必死に口を動かしていた。




仲良り出来るなら何でもやる!

やってやるわよ!





神様お願いします!


私達を元友に戻してください!
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