オオカミくんと秘密のキス
第二体育館へ着くと長いテーブルが何個か設置してあり、その上にはレゴブロックの入った箱がたくさん置いてある。

その近くにはお城のように組み立てられた見本のレゴがあり、先についたカップルがブロックに手を出して苦戦していた。





「レゴって…幼稚園かよ」


やる気をなくしたように言う凌哉くんは、箱の中に入っているレゴを手に取って中に投げて戻した。





「でも結構難しそうだよ。レゴっていっても大人向けみたい」


わざと色んな色を使ってカラフルに組み立ててるから、難易度は確実に高いよね…




「とにかくやろう!」


私達は椅子に腰掛けると、箱からブロックをバラバラとテーブルに出した。そして近くに展示されている見本をじーっと眺め、その通りにレゴを組み立て始める。




「レゴだって」

「難そうだな」


私の近くの椅子に座り、樹里と絢人カップルもレゴをやり始めたようだ…




「げ!レゴ!?」


春子と柳田くんカップルも第二体育館に到着して、レゴを見るなり春子は私が思い描いていたと通りの反応をしている。




よしよし♪

みんなやり始めてるようだね~


まさかレゴブロックをやる事になるとは思ってなかったけど…やるからには本気でいくよー!

実は私はこういうのは得意なんだよね~






「さすが沙世!」


見本通りにどんどん組み立てていく私を見て、隣でレゴブロックを渡してくれている凌哉くんが叫ぶ。


手錠しててやりにくいけど、ブロックは凌哉くんが渡してくれるし…ちょっと手先がもたつくくらいでそんなに問題ないや。






「春子達はどうー?」


レゴをはめながら春子に話しかけると、余裕そうな声が返ってきた。





「んー?圭吾がやってくれるよ♪」

「え?」


振り返って見てみると…手馴れた手つきで柳田くんがブロックを組み立ていて、春子は隣でただ眺めているだけ…




あのカップルは彼氏の方が手先が器用なのか…

柳田くんは頭もいいし、こういうの普通に得意そうし簡単にやり抜きそうだな~






「樹里はー?」


近くにいる樹里と絢人カップルにも聞いてみると…





「弟がレゴ好きだったから結構出来るかも~」

「そっか!」


樹里はそんなに苦戦している様子もなく、時々絢人に手伝ってもらいながらブロックを組み立てていた。




みんなすごいな~

私も頑張らなくっちゃ!






「おお!すごいすごい!早くも完成したカップルがいます!」


体育館にいるイベント係の生徒が、まるで中継しているようにマイクで叫んだ。




嘘!早い~

どんな手先してんのよっ



他のカップルに負けじと、私はレゴを組み立てるのに集中する。






「…出来た!」

「よし!」


少し手こずったけどなんとか出来たよ~





「はい合格です!おめでとうございます!」


イベント係に合格をもらい、地図が描かれた紙の下にスタンプを1つもらった。

これを全部貯めてゴールすればいいらしいけど…まだ1つめだしまだまだ道のりは遠いよ。


このイベントってショボそうに見えて、意外とゲームがたくさんあるから結構長期戦なんだね。甘く見てたな…
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