オオカミくんと秘密のキス
ゲシッ
「痛!何すんのよっ」
円を組むように寄り添いながら、春子と樹里はお互いを蹴る。
「やめてってばっ!」
私が声を上げると、2人は私の顔を見て少し驚いているような顔をした。
いつもは私が声を荒げることなんてないし、それにこんなふうに2人に対して強い口調で言葉を発したことはなかった。
「…怒らないでよ沙世」
春子は拗ねた子供のような顔をして言った。
「さすがに怒るよ…こんなの見たくないよ…」
私の目からは涙がうっすらと滲んでいたが、2人はそれに気づいている様子はない。
「で、でもっ…私の気持ちもわかるでしょ?私は樹里と絢人に裏切られたんだよ?」
春子はそう言うと、唇を震わせてとうとう泣き出してしまった…
「だから謝ってるじゃん!何度も何度も謝ってるのに…」
樹里もたまらずに泣き始める。
不安定な板の上で、3人は支えながら泣いているというなんとも不思議な光景。
「春子の気持ちはもちろんわかるよ…その気持ちを考えると辛いと思うよ…でも……今は彼氏がいるし、もう過去のことって考えてもいいんじゃないかな?」
「…」
春子は私から目をそらしながら、鼻をすすって涙を手で拭った。
「こんなふうに春子が樹里と絢人に冷たく当たれば当たる程…柳田くんは傷ついてると思うよ?そういうのはどうでもいいの?」
「ち、違う!私は今は圭吾のことが…」
春子は自分の言った言葉で、何かに気づいたような顔をして目から1粒の涙が流れた…
そして柳田くんがいるギャラリーの方を見て、またそっと涙を拭った。
「春子…これは真面目な話で……本当にごめんなさい。春子の事を裏切る形になっちゃったけど、私も本気で絢人のこと好きなの…」
樹里は涙ながらに真剣な顔で言った。
「こんなこと言ったら図々しいのはわかってるけど…私……前みたいに春子と沙世と仲良くしたい。2人共私の大事な親友だもんっ…」
息を切らして泣く樹里に、隣にいた私は背中をさすった。
「っ……」
すると、春子は歯を食いしばりながら樹里に向かって手を上げた。
「春子ダメ!」
とっさに私が止めに入ると、春子の上げている手は力を無くしゆっくりと離れた。
「殴れないよ…友達だもん……」
「春子…」
さっき樹里と絢人をひっぱたいたこと…もしかしてずっと気にしてたのかな。
友達を殴るなんて…やっぱり胸が痛いもんね。
「私も悪かったよ…ひっぱたいたりしてごめん」
春子がそう謝ると、樹里は大量も涙を出して泣き崩れる。
良かった…
これでみんな仲直り…
グラッ…
え!
樹里が少しかがんだと同時に、乗っている板が大きく揺れてよろけた私は背中から後ろに倒れそうになる。
「沙世っ!」
プールに落ちそうになる私の両手を、春子と樹里がとっさに掴む。
「大丈夫!?」
「しっかり!」
2人に両手を引いてもらいながらも、私はプールに落ちないように必死に耐えた。
「ちょっと聞いていいー?」
「痛!何すんのよっ」
円を組むように寄り添いながら、春子と樹里はお互いを蹴る。
「やめてってばっ!」
私が声を上げると、2人は私の顔を見て少し驚いているような顔をした。
いつもは私が声を荒げることなんてないし、それにこんなふうに2人に対して強い口調で言葉を発したことはなかった。
「…怒らないでよ沙世」
春子は拗ねた子供のような顔をして言った。
「さすがに怒るよ…こんなの見たくないよ…」
私の目からは涙がうっすらと滲んでいたが、2人はそれに気づいている様子はない。
「で、でもっ…私の気持ちもわかるでしょ?私は樹里と絢人に裏切られたんだよ?」
春子はそう言うと、唇を震わせてとうとう泣き出してしまった…
「だから謝ってるじゃん!何度も何度も謝ってるのに…」
樹里もたまらずに泣き始める。
不安定な板の上で、3人は支えながら泣いているというなんとも不思議な光景。
「春子の気持ちはもちろんわかるよ…その気持ちを考えると辛いと思うよ…でも……今は彼氏がいるし、もう過去のことって考えてもいいんじゃないかな?」
「…」
春子は私から目をそらしながら、鼻をすすって涙を手で拭った。
「こんなふうに春子が樹里と絢人に冷たく当たれば当たる程…柳田くんは傷ついてると思うよ?そういうのはどうでもいいの?」
「ち、違う!私は今は圭吾のことが…」
春子は自分の言った言葉で、何かに気づいたような顔をして目から1粒の涙が流れた…
そして柳田くんがいるギャラリーの方を見て、またそっと涙を拭った。
「春子…これは真面目な話で……本当にごめんなさい。春子の事を裏切る形になっちゃったけど、私も本気で絢人のこと好きなの…」
樹里は涙ながらに真剣な顔で言った。
「こんなこと言ったら図々しいのはわかってるけど…私……前みたいに春子と沙世と仲良くしたい。2人共私の大事な親友だもんっ…」
息を切らして泣く樹里に、隣にいた私は背中をさすった。
「っ……」
すると、春子は歯を食いしばりながら樹里に向かって手を上げた。
「春子ダメ!」
とっさに私が止めに入ると、春子の上げている手は力を無くしゆっくりと離れた。
「殴れないよ…友達だもん……」
「春子…」
さっき樹里と絢人をひっぱたいたこと…もしかしてずっと気にしてたのかな。
友達を殴るなんて…やっぱり胸が痛いもんね。
「私も悪かったよ…ひっぱたいたりしてごめん」
春子がそう謝ると、樹里は大量も涙を出して泣き崩れる。
良かった…
これでみんな仲直り…
グラッ…
え!
樹里が少しかがんだと同時に、乗っている板が大きく揺れてよろけた私は背中から後ろに倒れそうになる。
「沙世っ!」
プールに落ちそうになる私の両手を、春子と樹里がとっさに掴む。
「大丈夫!?」
「しっかり!」
2人に両手を引いてもらいながらも、私はプールに落ちないように必死に耐えた。
「ちょっと聞いていいー?」