オオカミくんと秘密のキス
春子がスタンドにフラスコをそっと置くと、私はマッチ箱からマッチを一本出した。
「アルコールランプつけるね」
マッチ棒を箱の外側についている赤リンにそっと近づけた…
「危ねえな…俺がやってやる」
「えっ」
突然誰かに後ろから抱きつかれて、マッチを持って火をつけようとしていた私の両手を包んだ。少しだけ顔を横に向けて見上げると、凌哉くんが私の両手に自分の手を重ねてマッチを持つと赤リンに近づける。
「ちょ、ちょっと…」
「危ないから動くなよ」
「こっちの方が危ないでしょっ!」
「…じゃあ離せ」
凌哉くんに言われた通りマッチから手を離すと、凌哉くんは後ろから抱きしめながら私の顔の前の辺りに手を回してマッチに火をつけた。
頭の上に凌哉くんの顔が乗っかっていて、しかも後ろから抱きつかれている状態…どうしたらいいのかわからない…
マッチに火をつけるジッジッという音が、何故か私の胸をドキドキさせた。春子達はニヤニヤしていて今にもからかってきそうな雰囲気。そして周りにいる生徒達も私と凌哉くんをチラチラ見ている。
たかがマッチをつけるくらい…私にだって出来るっつーの!
凌哉くんは他のグループなのに、こんなふうに私を気にかけてくれてるのは嬉しいけど…
「…ついたぞ」
凌哉くんが持つマッチ棒の先にボワッと火が付くと、凌哉くんはアルコールランプの木綿の芯の先に近づけて火をつけた。
「ありがとう…」
「…ん」
火のついたままのマッチを私の口元に近づける凌哉くんに、私は戸惑いながらふうっと息を吹きかけてマッチの火を消した。
パチパチパチパチ…
すると私を除くグループの3人が何故か拍手をし始めた。
「尾神くん。あなたさすがだよ」
ポンポンと凌哉くんの肩を叩く春子。凌哉くんは抱きついていた私からそっと離れると「なんだそれ」と笑い自分の班に戻って行った。
まだドキドキが治まらない中凌哉くんを見ていると、そっちのグループの女子2人に怖い顔で睨まれた。
とっさに凌哉くんから目をそらして自分の班の実験を再開させると、春子達に凌哉くんのことでからかわれそれが睨まれた女子2人に聞こえているような気がして、うまく笑う事が出来ず顔がひきつってしまった。
キーンコーン
カーンコーン
授業が終わり私達4人は理科室から教室に戻って来ると、次は昼休みで昼食の時間。
「良かったらお昼みんなで食べない?」
教室に入るなり、多美子ちゃんが嬉しそうに提案する。私達は一斉に「賛成ー」と言った。
「私今日は買い弁なんだ~売店行ってくるからちょっと待ってて~」
「私も!一緒に行こう♪」
財布を持って教室を出ようとする春子を引き止め、多美子ちゃんは自分の席に戻ってカバンを肩にかけると、ダッシュでドアの近くにいる春子の元へ向かう。
「せっかくだから食堂で食べようか?」
「いいね!じゃあ売店でお昼買ったら食堂行くから席とっておいて~」
「わかった!」
春子と多美子ちゃんは2人で売店に向かうと、カバンを持った寧々ちゃんが私の席にやって来た。
「沙世ちゃんもお弁当ですか?」
「うん!寧々ちゃんも?」
「はい!先に食堂に行ってましょう」
「そうだね」
私は寧々ちゃんと教室を出て、2人で食堂に向かった。
「食堂で食べるなんて初めてですぅ」
「私もだよ。いつも教室か屋上だから」
基本いつもお弁当だから学食はまだ食べたことないんだよね…
結構美味しいらしいけど、混んでるから基本避けちゃうかも。
「あ、すいません!ちょっとトイレに行ってもいいですか?」
階段を降りて一階まで来た時、近くにあったトイレを見て寧々ちゃんが言った。
「いいよ~ここで待ってるね!あ、カバン持つよ」
「すみません!ありがとうございますっ!すぐに行ってきますね」
「ゆっくりでいいよ~」
「アルコールランプつけるね」
マッチ棒を箱の外側についている赤リンにそっと近づけた…
「危ねえな…俺がやってやる」
「えっ」
突然誰かに後ろから抱きつかれて、マッチを持って火をつけようとしていた私の両手を包んだ。少しだけ顔を横に向けて見上げると、凌哉くんが私の両手に自分の手を重ねてマッチを持つと赤リンに近づける。
「ちょ、ちょっと…」
「危ないから動くなよ」
「こっちの方が危ないでしょっ!」
「…じゃあ離せ」
凌哉くんに言われた通りマッチから手を離すと、凌哉くんは後ろから抱きしめながら私の顔の前の辺りに手を回してマッチに火をつけた。
頭の上に凌哉くんの顔が乗っかっていて、しかも後ろから抱きつかれている状態…どうしたらいいのかわからない…
マッチに火をつけるジッジッという音が、何故か私の胸をドキドキさせた。春子達はニヤニヤしていて今にもからかってきそうな雰囲気。そして周りにいる生徒達も私と凌哉くんをチラチラ見ている。
たかがマッチをつけるくらい…私にだって出来るっつーの!
凌哉くんは他のグループなのに、こんなふうに私を気にかけてくれてるのは嬉しいけど…
「…ついたぞ」
凌哉くんが持つマッチ棒の先にボワッと火が付くと、凌哉くんはアルコールランプの木綿の芯の先に近づけて火をつけた。
「ありがとう…」
「…ん」
火のついたままのマッチを私の口元に近づける凌哉くんに、私は戸惑いながらふうっと息を吹きかけてマッチの火を消した。
パチパチパチパチ…
すると私を除くグループの3人が何故か拍手をし始めた。
「尾神くん。あなたさすがだよ」
ポンポンと凌哉くんの肩を叩く春子。凌哉くんは抱きついていた私からそっと離れると「なんだそれ」と笑い自分の班に戻って行った。
まだドキドキが治まらない中凌哉くんを見ていると、そっちのグループの女子2人に怖い顔で睨まれた。
とっさに凌哉くんから目をそらして自分の班の実験を再開させると、春子達に凌哉くんのことでからかわれそれが睨まれた女子2人に聞こえているような気がして、うまく笑う事が出来ず顔がひきつってしまった。
キーンコーン
カーンコーン
授業が終わり私達4人は理科室から教室に戻って来ると、次は昼休みで昼食の時間。
「良かったらお昼みんなで食べない?」
教室に入るなり、多美子ちゃんが嬉しそうに提案する。私達は一斉に「賛成ー」と言った。
「私今日は買い弁なんだ~売店行ってくるからちょっと待ってて~」
「私も!一緒に行こう♪」
財布を持って教室を出ようとする春子を引き止め、多美子ちゃんは自分の席に戻ってカバンを肩にかけると、ダッシュでドアの近くにいる春子の元へ向かう。
「せっかくだから食堂で食べようか?」
「いいね!じゃあ売店でお昼買ったら食堂行くから席とっておいて~」
「わかった!」
春子と多美子ちゃんは2人で売店に向かうと、カバンを持った寧々ちゃんが私の席にやって来た。
「沙世ちゃんもお弁当ですか?」
「うん!寧々ちゃんも?」
「はい!先に食堂に行ってましょう」
「そうだね」
私は寧々ちゃんと教室を出て、2人で食堂に向かった。
「食堂で食べるなんて初めてですぅ」
「私もだよ。いつも教室か屋上だから」
基本いつもお弁当だから学食はまだ食べたことないんだよね…
結構美味しいらしいけど、混んでるから基本避けちゃうかも。
「あ、すいません!ちょっとトイレに行ってもいいですか?」
階段を降りて一階まで来た時、近くにあったトイレを見て寧々ちゃんが言った。
「いいよ~ここで待ってるね!あ、カバン持つよ」
「すみません!ありがとうございますっ!すぐに行ってきますね」
「ゆっくりでいいよ~」