オオカミくんと秘密のキス
「つーかお前こんなところで何してんだ?」
凌哉くんが妃華ちゃんに聞く。
「これから塾なんだ~この公園抜け道だから早いの。ってゆうかこっちのセリフなんだけど~!凌哉が女の子といるなんて珍しいじゃん」
クネクネと体を動かし、凌哉くんの腕に絡みつく妃華ちゃん。
「まあな。今日は沙世と学校サボってデートしてたんだ」
「え…デートって…?」
「デートはデートだろ」
妃華ちゃんの表情が一気に曇る。
「そ、それって…どういうこと?付き合ってるの?」
さっきまでの妃華ちゃんのテンションはどこに行ったのか、急に凌哉くんに質問攻めをしてどこか焦っているように見える。
「まだ付き合ってないけど」
「まだ?付き合ってない子と凌哉がデートなんておかしい!あんなに潔癖の凌哉がどうして?」
「んなことお前に関係ないだろ。これから塾なんだろ?早く行かないと遅れるぞ」
「…」
凌哉くんの言葉を聞いて、妃華ちゃんは眉をしかめると私を一瞬キッと睨んだ。そしてすぐにさっきまでのニコニコとした顔に戻ると、また凌哉くんの腕にしがみつく。
「そうだねっ。あ、お母さんと隆也によろしく!また連絡するから♪」
「わかった」
妃華ちゃんの「お母さん」と「隆也」という呼び方が、凌哉くんと親しいと言うことが伝わってくる。
「また連絡する」と言った妃華ちゃんの言葉から、この2人が連絡を取り合っているところを勝手に想像してしまい嫉妬した。
「じゃあね!」
「気をつけろよ」
「うん!」
凌哉くんの腕にしがみついていた妃華ちゃんは、また凌哉くんに抱きついて別れを惜しむように手を振りながら走って公園から出ていった。
妃華ちゃんに挨拶する間もなく、私は抱き合う2人を見てまた嫉妬していた。一方的に妃華ちゃんが抱きついているわけではなく、凌哉くんも受け入れている感じがなんか嫌だった…
「俺らも帰るか」
「…うん」
私と凌哉くんも、公園を出て駅の方に向かって歩き始める。
告白するタイミングなくなっちゃった…
それから凌哉くんと地元に帰り、いつも通りに振舞うフリをしながら内心モヤモヤして、夜の7時を過ぎた頃凌哉くんに家まで送ってもらった。
告白はしなかった。
出来なかった…という方が正しいかな。
翌日
「沙世ー!」
「沙世ちゃん!」
朝学校へ向おうと家を出ると、自宅のアパートの前に春子と多美子ちゃんと寧々ちゃん3人が私を待っていてくれた。
「お、おはよう…どうしたの?」
こんな朝早くに…
「どうしたのじゃないって!あんた昨日あんなにひどい事されたんだよ!!?ずっと心配してたんだから~どーして電話出ないのよ!」
「そうだよ~私昨日眠れなかったんだからね!」
春子と多美子ちゃんに詰め寄られ大声で怒られる私。
「ご、ごめんね…昨日は早く寝ちゃったんだ…」
本当はスマホの電源オフにしてたんだけどね…凌哉くんと妃華ちゃんのことでモヤモヤしてたから、スマホにしばられたくなくて切っちゃった。
1人で色々考えたかったし…
「沙世ちゃん…」
2人の後ろでポツンと立っていた寧々ちゃんが、突然泣き出す。
「寧々ちゃん?」
「心配しましたぁ~ごめんなさい!私は現場にいたのに何も出来なくて…」
かけているメガネを外して涙を拭く寧々ちゃんに、私は近づいて背中をさすった。
「そんなことないよ。寧々ちゃんがいてくれてあの時は本当に心強かった…それに凌哉くんにあの日のこと話してくれたんだよね?本当にありがとう」
気がつくと私の目からも涙が出ていて、私と寧々ちゃんは2人で慰め合いながら泣いた。春子と多美子ちゃんもうるうると泣いていて、私達4人は泣きながら学校へ向かった。
がやがや
学校へ着いて教室へ行くと、教室にいる生徒達は皆私を一瞬ちらっと見たような気がした。
昨日の今日だし仕方が無いことだが、私は気にしないようにして自分の席についた。多美子ちゃんと寧々ちゃんも、一先ず自分の席に荷物を置きに行った。
私はカバンの荷物を整理して机の横にかけると、ちょうど教室に入って来た凌哉くんと目が合った。
「よう」
「…おはよ。昨日はありがとね」
凌哉くんが妃華ちゃんに聞く。
「これから塾なんだ~この公園抜け道だから早いの。ってゆうかこっちのセリフなんだけど~!凌哉が女の子といるなんて珍しいじゃん」
クネクネと体を動かし、凌哉くんの腕に絡みつく妃華ちゃん。
「まあな。今日は沙世と学校サボってデートしてたんだ」
「え…デートって…?」
「デートはデートだろ」
妃華ちゃんの表情が一気に曇る。
「そ、それって…どういうこと?付き合ってるの?」
さっきまでの妃華ちゃんのテンションはどこに行ったのか、急に凌哉くんに質問攻めをしてどこか焦っているように見える。
「まだ付き合ってないけど」
「まだ?付き合ってない子と凌哉がデートなんておかしい!あんなに潔癖の凌哉がどうして?」
「んなことお前に関係ないだろ。これから塾なんだろ?早く行かないと遅れるぞ」
「…」
凌哉くんの言葉を聞いて、妃華ちゃんは眉をしかめると私を一瞬キッと睨んだ。そしてすぐにさっきまでのニコニコとした顔に戻ると、また凌哉くんの腕にしがみつく。
「そうだねっ。あ、お母さんと隆也によろしく!また連絡するから♪」
「わかった」
妃華ちゃんの「お母さん」と「隆也」という呼び方が、凌哉くんと親しいと言うことが伝わってくる。
「また連絡する」と言った妃華ちゃんの言葉から、この2人が連絡を取り合っているところを勝手に想像してしまい嫉妬した。
「じゃあね!」
「気をつけろよ」
「うん!」
凌哉くんの腕にしがみついていた妃華ちゃんは、また凌哉くんに抱きついて別れを惜しむように手を振りながら走って公園から出ていった。
妃華ちゃんに挨拶する間もなく、私は抱き合う2人を見てまた嫉妬していた。一方的に妃華ちゃんが抱きついているわけではなく、凌哉くんも受け入れている感じがなんか嫌だった…
「俺らも帰るか」
「…うん」
私と凌哉くんも、公園を出て駅の方に向かって歩き始める。
告白するタイミングなくなっちゃった…
それから凌哉くんと地元に帰り、いつも通りに振舞うフリをしながら内心モヤモヤして、夜の7時を過ぎた頃凌哉くんに家まで送ってもらった。
告白はしなかった。
出来なかった…という方が正しいかな。
翌日
「沙世ー!」
「沙世ちゃん!」
朝学校へ向おうと家を出ると、自宅のアパートの前に春子と多美子ちゃんと寧々ちゃん3人が私を待っていてくれた。
「お、おはよう…どうしたの?」
こんな朝早くに…
「どうしたのじゃないって!あんた昨日あんなにひどい事されたんだよ!!?ずっと心配してたんだから~どーして電話出ないのよ!」
「そうだよ~私昨日眠れなかったんだからね!」
春子と多美子ちゃんに詰め寄られ大声で怒られる私。
「ご、ごめんね…昨日は早く寝ちゃったんだ…」
本当はスマホの電源オフにしてたんだけどね…凌哉くんと妃華ちゃんのことでモヤモヤしてたから、スマホにしばられたくなくて切っちゃった。
1人で色々考えたかったし…
「沙世ちゃん…」
2人の後ろでポツンと立っていた寧々ちゃんが、突然泣き出す。
「寧々ちゃん?」
「心配しましたぁ~ごめんなさい!私は現場にいたのに何も出来なくて…」
かけているメガネを外して涙を拭く寧々ちゃんに、私は近づいて背中をさすった。
「そんなことないよ。寧々ちゃんがいてくれてあの時は本当に心強かった…それに凌哉くんにあの日のこと話してくれたんだよね?本当にありがとう」
気がつくと私の目からも涙が出ていて、私と寧々ちゃんは2人で慰め合いながら泣いた。春子と多美子ちゃんもうるうると泣いていて、私達4人は泣きながら学校へ向かった。
がやがや
学校へ着いて教室へ行くと、教室にいる生徒達は皆私を一瞬ちらっと見たような気がした。
昨日の今日だし仕方が無いことだが、私は気にしないようにして自分の席についた。多美子ちゃんと寧々ちゃんも、一先ず自分の席に荷物を置きに行った。
私はカバンの荷物を整理して机の横にかけると、ちょうど教室に入って来た凌哉くんと目が合った。
「よう」
「…おはよ。昨日はありがとね」