オオカミくんと秘密のキス
そういえば…シャーペンの芯と消しゴム切らしてたんだっけ。

どうしよう…もうすぐで家に着くけど、また駅の方に戻ってコンビニに買いに行こうかな…洋平に借りるって手もあるけど…うーん…


しばし考えた結果。やっぱりコンビニに行くことにした私。

コンビニはすぐそこだし、それに今日はお母さんも家にいるし、ちょっとくらい遅くなっても大丈夫だよね。



私は今来た道を戻りまた駅の方に向かって歩き始め、コンビニでシャーペンの芯と消しゴムを買った。そしてコンビニの前の交差点で赤信号で立ち止まる。

またお決まりのようにポケットからスマホを出して、指で画面をスライドさせる。




明日はなに作っていこうかな~

みんな甘い物好きそうだし、やっぱお菓子がいいよね。帰ったらお母さんに相談してみよう!





「あれ?」

「え?…あっ!」


すると後ろから男の人の声がして振り向むき、その人を見た途端私は思わず声を出してしまった。その男の人に見覚えがあったからだ。






「ま、政宗さん!?ですよね…」


偶然に寧々ちゃんのお兄さんの政宗さんと会った。政宗さんはラフな格好をしていて、この前よりも少し髪を切っているようだった。







「寧々の友達だよね?この前うちに来てた子でしょ?ごめん…名前が出てこないくて…」

「萩原沙世です!この前はありがとうございました!おかげで数学のテストはなんとかなりました!!」


ペコッと頭を下げると、政宗さんはクスクスと笑った。





「ハハ、わざわざありがと。お役に立てて良かったよ…君、沙世ちゃんていうのか。制服着てるけど…今帰り?」

「はい!今さっき寧々ちゃん達とカラオケ行ってて、今帰りなんです」

「あ、そうだったんだ。家近いの?もう暗いし良かったら送って行くよ」


優しく微笑んで言う政宗さん。





「えっ…そ、そんな…悪いですよ!私の家ここからすぐですから大丈夫ですよ!」

「うーん、でもなぁ…妹の友達だし、何かあったらって思うとちょっと心配かも。家はどの辺?」

「えっと…この信号渡って住宅街のアパートです」

「…ふーん……住宅街抜けた大通りに大きい本屋あるよね?俺あそこ行くから、良かったらそこまで付き合ってくれない?」


意地悪っぽく言う政宗さんに、私は思わずつられて笑ってしまった。






「本屋になんて用ないのバレバレですよ」

「バレた?ま、いっかー。ほらほら行くよ」


信号が赤から青に変わると、政宗さんは私よりも先に歩き出した。送ってもらうなんて申し訳ないしもう一度断ろうと思ったけど、私は政宗さんを追いかけて送ってもらうことにした。





「送って頂いてすいません…」

「いいんだよ。本屋に行くついでだって言っただろ?あ、このネタもうしつこい?」

「いえ、そんなことないですよ~」


政宗さんて面白いな。ギャグもなんか優しくて、性格がよく出てる感じがする。






「政宗さんはお出かけの帰りですか?」


確か大学生だったよね?ってことは、大学の帰りかな?





「デートの帰りだよ。彼女と映画観てきたところ~彼女はこれから9時までバイトだから、実は終わるまで時間つぶそうとしてたところだったんだ」

「あ、そうだったんですか?」


彼女がバイト終わるまで待ってるなんて、やっぱり政宗さんは優しいな。






「だから本当に気にしないでね。俺こそ、沙世ちゃんに会えてラッキーなんだ♪少しの時間でも話相手がいた方がいいし」

「そうですね!」


そう言ってもらえると、申し訳ない気持ちが少しは消えるかも。





「バイト終わるまで彼女さんのこと待ってるなんて…超ラブラブですね!羨ましいなぁ」


今の私からすれば、ラブラブカップルはマジで憧れます。





「つい最近まで彼女と大喧嘩してて、この前やっと仲直り出来たんだ。だから久しぶりにデートして、その後も少しでも一緒にいたいなと思ってさ」

「大喧嘩…ですか?」


政宗さんでも喧嘩とかするんだ…怒ってるとことか想像出来ないな。







「うん…簡単に言うと俺の嫉妬が喧嘩の原因なんだけどね」

「嫉妬…」
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